2016 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病の関連タンパク質に対する酸化修飾のパーキンソン病発症における役割
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26461277
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
小澤 健太郎 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80507393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉栖 正典 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60294667)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 一酸化窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは家族性パーキンソン病の原因タンパク質parkinが一酸化窒素(NO)により修飾されることを見出したが、その被修飾部位であるシステインに変異を加えたノックイン細胞を樹立してきた。昨年度まではノックイン細胞のミトコンドリア機能を評価してきたが、ノックイン細胞のミトコンドリア機能および解糖系の活性は、野生型細胞SH-SY5Yと比較して、有意な差を認めなかった。今年度はこのノックイン細胞の表現系解析を進め、ミトコンドリアのComplex I、Complex Vなどの酵素を差害することにより生じるミトコンドリアストレスによる細胞死を評価した。そのため、Complex I、Complex III、Complex Vに対する阻害剤を野生型細胞およびノックイン細胞に添加し、その細胞死をLDHアッセイおよび細胞カウンティングにより評価した。その結果、LDHアッセイおよび細胞カウンティングの両方の方法においてノックイン細胞はミトコンドリアストレスに対して、細胞死が増強しており、parkinのNOによる修飾は、ミトコンドリア機能異常により生じる細胞死を増悪させることことを見出した。このことはparkinをNOにより修飾することが、細胞をミトコンドリアストレスから保護するストレス応答の機構として機能していることを示している。パーキンソン病における神経細胞死はミトコンドリアの機能異常により生じることが示唆されているが、今回の結果はNOによるParkinの修飾がその神経細胞を抑える働きを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、parkinの被修飾部位に変異を加えたノックイン細胞において、ミトコンドリアストレスに対する脆弱性を見出している。このことは、parkinのNOによる修飾が、神経細胞においてミトコンドリア機能異常からの神経細胞しに保護的に働く可能性を示唆しており、当初の計画通り研究が進展していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
ノックイン細胞において増強される細胞死の分子メカニズムに関して、解析を進め、平成29年度中に論文において成果を発表する予定。
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