2014 Fiscal Year Research-status Report
マイクロRNAがRep1配列多型によるパーキンソン病発症リスク変化に与える影響
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26461283
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
水野 英哉 武庫川女子大学, 薬学部, 准教授 (90322578)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / パーキンソン病 / マイクロRNA / SNP / αシヌクレイン |
Outline of Annual Research Achievements |
Poly-(ADP-ribose) polymerase-1 (PARP1) とはDNA結合性タンパク質であり、パーキンソン病 (PD)の原因タンパク質のひとつであるαシヌクレイン (α-Syn) のプロモーター配列であるRep1配列に結合することによりα-Synの発現を制御することが報告されている。PARP1は約3.7k塩基長の3’非翻訳領域 (3’UTR) をもつことから、microRNA (miRNA) に発現が制御されている可能性がある。miRNAは20~25塩基程度の1本鎖non-coding RNAでゲノムから転写された後、いくつかのプロセスを経て成熟型となり、遺伝子発現調節機能を司っていることが知られている。今年度はmiRNAがPARP1の発現に与える影響を明らかにすることを目的として以下の研究を行った。 ヒト胎児由来腎臓細胞 HEK293に非翻訳領域を含むPARP1全配列とmiRNA標的配列予測プログラムにより抑制することが予想されたmiRNAと神経細胞において多く発現していることが知られるその他のmiRNAをそれぞれ50nMの濃度になるようにLipofection法により導入し、PARP1発現量の変化をウエスタンブロッティングにより解析した。その結果、数種のmiRNAではPARP1発現量の低下が認められた。そこで発現量の低下率が最も大きかったmiRNAに注目して検討した。50nMにおいて発現量の有意な低下及び、miRNAの濃度に依存したPARP1の発現量の低下が認められた。さらに、miRNA標的配列予測プログラムにより予測されたPARP1 3’UTR上のmiRNAの標的配列を5塩基置換又は5塩基欠失した変異モデルを作成し、同様に検討した。変異及び欠失の両モデルにおいて完全ではないもののmiRNAによるPARP1発現量の低下の回復がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していたPARP1発現を抑制するmiRNAが同定できた。ただし正確な作用部位が同定することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結果より、miRNAがPARP1 3’UTRを標的としてPARP1の発現を抑制する可能性が示唆された。今後は異なる部位の変異モデルを作成し、正確な標的配列を同定することを予定している。さらに、神経細胞モデルであるSH-SY5Yを用いて、miRNAを作用させ、以下の項目について解析・検討する予定である。a) 内在性PARP1の発現量の変化及びPARP1が発現を制御していると報告されているα-Synの発現量の変化、b)Rep1配列に結合するPARP1タンパク質量の変化、c) 細胞増殖速度の変化、d) ロテノン、MPTPなど神経細胞毒性をもつ化合物に対する脆弱性の変化
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Causes of Carryover |
使用期限間際になって、発注していた製品が在庫切れであることが判明した。次年度(H27年度)も確実に使用する製品だったので、他の製品を購入するのではなく、購入を次年度に繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していた製品(大腸菌培養用試験管)を購入する。
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