2014 Fiscal Year Research-status Report
軸索興奮性測定・脳機能画像を用いた神経障害性疼痛の客観的総合評価システムの確立
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26461305
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
桑原 聡 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70282481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 園子 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (30375753)
平野 成樹 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60375756)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 慢性疼痛 / 痛覚刺激脳誘発電位 / 脳機能画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績の概要は以下のように進んでいる。 (1)痛覚線維選択的刺激による脳誘発電位:正常対照40名、神経障害性疼痛患者20名において施行した。正常対照における誘発電位の潜時、振幅、および振幅比の基準値を構築した。患者における脳電位には正常者と比較して有意な振幅の低下と振幅比の低下が認められ、疼痛抑制系の機能障害を示唆する所見であると考えられた。これらの結果から、痛覚線維選択的刺激を用いた脳誘発電位は疼痛の定量的・客観的評価法として有用であることが示された。この結果を論文として公表すべく国際医学誌に投稿中である。
(2)脳機能画像による疼痛の客観的評価:学内倫理委員会の承認を得て、正常対照者15名における脳血流SPECT所見を集積した。現在までに神経障害性疼痛患者5名において脳血流SPECT画像を撮影し、解析を行なっている。今年度中に患者数を10名~15名程度に増やし、より多数例において統計処理を加えた画像解析を行うことにより慢性疼痛患者と正常対照者との所見の相違、疼痛により賦活される脳部位の同定に関する解析を行なう。また、対象とした慢性疼痛患者において上記の痛覚線維選択的刺激による脳誘発電位は既に施行されていることから、脳血流画像と誘発電位振幅の相関関係について解析を行なっている。
(3)上記の病態解析・疼痛の定量的・客観的評価法を用いて、セロトニン・ノルアドレナリン取り込み阻害剤などの神経障害性疼痛治療薬による治療介入による所見の変化を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由: 研究実績の概要は以下に示すように概ね順調に進んでいる。 (1)痛覚線維選択的刺激による脳誘発電位は正常対象者40名(目標50名)、神経障害性疼痛患者20名(目標30名)に施行し目標症例に近づいている。予備的解析はすでに施行した対象者の所見について既に行い、結果を論文として公表するべく、既に投稿している。さらに症例数を増やすことにより、年齢や罹病期間の影響についてさらに解析を進める予定である。 (2)脳機能画像(脳血流SPECT)は正常対照15名(目標20名)、神経障害性疼痛患者3名(目標20名)に施行しており今年度中に解析を行なう。作業仮説である大脳辺縁系の血流増加を評価するプログラムが既に完成している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策: 神経障害性疼痛の客観的評価について、痛覚線維選択刺激による脳誘発電位と脳血流画像の二つの方法を用いて評価法を確立する。病態解析として脱抑制所見と大脳辺縁系における活性化部位の同定を行い、薬剤による治療介入前後における変化を検討して、治療薬の効果判定と作用機序の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
H26年度購入予定であった痛覚線維選択的刺激用電極について既に保有していた電極を一部使用したために未使用額が発声した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
痛覚線維選択的刺激用電極について改良された電極を購入する。また国際学会における公表にあたり旅費を使用する。
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