2016 Fiscal Year Research-status Report
アミロイドPET陰性認知症患者におけるタウ蛋白集積と神経細胞障害の評価
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26461316
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
安宅 鈴香 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 医員 (40549755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 真人 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, チームリーダー(定常) (10373359)
島田 斉 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 主任研究員(定常) (10422239)
渡邊 恭良 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 名誉教授 (40144399)
須原 哲也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 部長(定常) (90216490)
嶋田 裕之 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (90254391)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | タウイメージング / PBB3-PET / PiB-PET / PiB陰性認知症 / アルツハイマー型認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病の主要な病理変化の1つである神経原線維変化の主体である、変性タウ蛋白をPETにて画像化する新規タウイメージングを認知症患者、神経変性疾患患者および解析の対照として健常ボランティアに対して撮影を行った。特に今年度は健常ボランティアの数を増やした撮影を行った。その内訳は50~60代が6名、70代が5名、、80代が5名と合計16名である。この結果、皮質のタウ集積と年齢には優位な相関を認め、健常者では加齢で脳皮質の変性タウ蛋白の集積が増えていくことが明らかになった。また今年度は従来の解析方法に加えて、放射線医学研究所が開発した、新規解析法(new reference method)を適応した。この解析法は白質を参照領域とするのであるが、これによって従来の小脳を参照領域とした解析に比べて、小脳皮質の集積を的確に診断することが可能となった。また、脳実質外に集積する非特異的な集積部分を削除する解析方法を使用することで余分な集積を除外でき、真の脳内タウ集積を視覚的に的確に評価することが可能となった。現在の解析は皮質や基底核などの関心領域にROIをおく、ROI解析が主体である。PET撮影を行った認知症患者の内訳としては今年度はPiB陰性認知症に加え、前頭側頭型認知症や皮質基底核変性症などの非AD型認知症の撮影を行った。さらに今年度はPiB陰性認知症の患者の剖検例を1例とることができ、画像病理相関として現在病理専門施設とともに解析を進めている。PiB陰性認知症のPBB3-PET画像の特徴として、内側側頭葉における特異的な集積の左右差などが示され、その背景病理として嗜銀顆粒性認知症や左右差のない症例では神経原線維優位型認知症などが推測された。アミロイド集積を伴わない認知症の発症について非常に有用な結果であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた健常ボランティアの撮影は順調に行えて数も十分集まり、対照としてのデータをとることができた。また、PiB陰性やその他の認知症の撮影も順調に進んだ。とくに本年度はPiB陰性認知症の剖検例を1例当院にてとることができた。またPET画像解析法の改良や新規の解析方法の適応も可能となっており、おおむね本研究は順調に行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
健常ボランティアの数は十分集まったので、これら健常者の画像を対照として、PiB陰性認知症やアルツハイマー型認知症、皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症、PS1 mutation を認めた家族性アルツハイマー型認知症など患者群の解析をROI解析やSPMなどを用いた群間比較での統計解析を進めていく予定である。またできるだけ剖検をとれるように、生前同意を積極的にとっていく予定である。剖検済みのPiB陰性認知症の1例についても、今後は病理専門施設による特殊染色やPET画像との詳細な対比を行い、背景病理とPBB3-PET画像の適合性について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は剖検例が1例と少なく、剖検例に対する謝金や、PET画像解析対照のための健常ボランティアの謝金なども別の財源から捻出したため、使用額が予想より低くなった。また、本年度は予想以上に解析結果をだすことに遅れが生じてしまい、主要な認知症関連の国際学会への発表および、参加を行わなかったので、今年度は当初の旅費の見積もり金額を使用することがなかった。国内学会の参加も予定より少なかった。 PET解析に関する物品は予定通り購入した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は最終年度であるため、これかでの研究内容、および解析結果をまとめて日本国内や国際学会へ研究結果を発表するために、各種学会への参加を予定している。また、剖検についても可能な限りとっていく予定であり、その分の謝金や剖検必要費用を使用する。 また、研究の実行や画像解析に必要な物品などの購入にも引き続き使用する予定である。
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