2015 Fiscal Year Research-status Report
ゲノムワイドなDNAメチル化解析から解明する膵β細胞の恒常性維持メカニズム
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26461351
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
西村 渉 自治医科大学, 医学部, 准教授 (00334433)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / 糖尿病 / 遺伝子 / 発現制御 / 細胞・組織 / 膵β細胞 / 内分泌 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的] DNAメチル化は、発生や生体の恒常性維持に必須である。DNAメチル化/脱メチル化が、遺伝子発現や細胞の機能をどのように制御し、その結果、生体代謝にどのように関与するのかを解析する上で、インスリンという明確な機能マーカーを有している膵β細胞はモデルとして有用である。本研究では、膵β細胞における以下の項目について、DNAメチル化による遺伝子発現制御と生体代謝調節メカニズムをゲノムワイドに解析することにより、エピゲノムと細胞機能との関係の統合的な理解への到達を目標とする。 [方法] 本研究計画では、以下の各課題を明らかにすることにより、DNAメチル化による膵β細胞の恒常性形成・維持機構と、その破綻による病態形成・生理変動メカニズムを明らかにする。 1)膵β細胞株において、DNAメチル化が遺伝子発現に関連している領域の同定 2)膵β細胞の最終分化過程の機能的β細胞の形成における、DNAメチル化の意義の解析 3)糖尿病の膵β細胞障害における、DNAメチル化による遺伝子発現の制御機構の解明 [結果] 1)についての解析結果を、論文発表した(Nishimura et al., J Mol Endocrinol 2015)。しかしこの解析により、膵β細胞株における遺伝子発現変動と、マウス単離膵島における遺伝子発現変動が、必ずしも一致しない事も判明した。本研究では、個体としての生体代謝の調節メカニズムと、膵内分泌細胞におけるエピゲノムによる遺伝子発現制御との関係の解明を目的としている。よって、1)の細胞株の解析より2)、3)のマウス単離膵島の解析を優先させる事とした。そこで、膵内分泌細胞の最終分化過程における変化を解析するため、Agilentのマイクロアレイにより、新生仔期のマウス単離膵島における遺伝子発現変動を網羅的に解析した。その結果、最終分化過程で発現が増強・減弱分子を数多く同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した3つの研究課題のうち、1項目について解析を終え論文として発表し、2項目について解析が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、新生仔期の最終分化過程や糖尿病における膵β細胞障害過程について、ゲノムワイドにDNAメチル化とmRNA発現を解析し、さらに高解像度な解析を加え、膵β細胞において遺伝子発現がDNAメチル化の影響を受けていると考えられる領域を同定する。さらに、申請者らが開発した、膵β細胞に蛍光蛋白質を発現するレポーターマウスから分離した純粋β細胞集団を対象にして、同定されたホットスポットや既知の機能分子にフォーカスして、DNAメチル化とmRNA発現、インスリン分泌能の変動を解析することにより、DNAメチル化によるβ細胞の恒常性形成・維持機構と、その破綻による病態形成・生理変動メカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成26年 10月の所属研究機関の変更に伴い、周辺環境への適応ならびに各実験系の再構築が必要となり、実験の実施が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、膵β細胞において遺伝子発現がDNAメチル化の影響を受けていると考えられる領域の同定のため、新生仔期の最終分化過程の膵β細胞におけるDNAメチル化の網羅的解析と、その高解像度な解析に使用される予定である。
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[Journal Article] Paternal allelic mutation at the Kcnq1 locus reduces pancreatic β cell mass via epigenetic modification of Cdkn1c.2015
Author(s)
Asahara S, Etoh H, Inoue H, Teruyama K, Shibutani Y, Ihara Y, Kawada Y, Bartolome A, Hashimoto N, Matsuda T, Koyanagi-Kimura M, Kanno A, Hirota Y, Hosooka T, Nagashima K, Nishimura W, Inoue H, Matsumoto M, Higgins MJ, Yasuda K, Inagaki N, Seino S, Kasuga M, Kido Y.
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Journal Title
Proceedings of the National Acaddemy of Scienceof the United States of America
Volume: 112(27)
Pages: 8332-8337
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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