2015 Fiscal Year Research-status Report
モデル動物の遺伝解析から同定した脂肪蓄積遺伝子SLC22A18の生理機能の解明
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26461357
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
後藤田 貴也 杏林大学, 医学部, 教授 (60322062)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / 内臓脂肪蓄積 / 遺伝子 / SLC / SHR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、SHRの遺伝解析を通じて内臓脂肪蓄積に関わる新規分子としてわれわれが同定した機能未知のトランスポーターであるSlc22a18に焦点を絞り、その発現実験および遺伝子改変マウスとメタボローム解析を通じて脂肪蓄積制御機構の解明を行い、その機能調節物質の同定を目的とする。 平成26年度には、Slc22a18欠損マウスとaP2プロモーター下で脂肪細胞特異的にSlc22a18を過剰発現するトランスジェニック(Tg)マウスの解析を通じて、Slc22a18がin vivoで実際に脂肪蓄積に関わることを立証し、また、初代培養肝細胞におけるトレーサー実験の結果、肝細胞においてもグルコースに由来する脂肪合成活性がSlc22a18発現量と相関することを示した。 平成27年度は、まず、マウスの活動度・呼吸代謝量測定を行い、Slc22a18欠損マウスでは活動量と酸素消費量が有意に低下していることが確認された。また、aP2-Tgマウスでは耐糖能が低下し、マウス肝臓におけるSlc22a18発現抑制はインスリン抵抗性を惹起することから、Slc22a18発現はインスリン感受性に影響を与えることが示された。次に、Slc22a18欠損ホモマウスと野生型C57BL/6Jマウス由来の臓器および生体試料を用いてCE-MS法によるメタボローム解析を行い、胆汁酸群に関して有意差を認めたが、Slc22a18を過剰発現もしくはノックダウンにより発現抑制した培養細胞を用いたin vitroにおける取り込み実験ではSlc22a18発現量と胆汁酸取り込みには関連が認められなかった。一方で、ヒトGWASの結果から基質候補の一つであるビリルビンに関しては、Slc22a18欠損マウスでin vivoにおけるビリルビンのクリアランスが有意に低下していることから、内因性基質の有力な候補分子の一つと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メタボローム解析によりSlc22a18の内因性基質候補をピンポイントに絞り込み、それに基づき機能調節化合物の探索に用いるSlc22a18アッセイ系の構築を予定していたが、メタボローム解析の結果から示唆された胆汁酸関連物質の取り込みにSlc22a18の関与は確認できず、計画が頓挫したため。
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Strategy for Future Research Activity |
胆汁酸関連物質に代わりビリルビンがSlc22a18の内因性基質の候補分子の一つと考えられたことから、これを手掛かりにSlc22a18のアッセイ系を構築し、Slc22a18の機能調節化合物の探索を行う。
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