2014 Fiscal Year Research-status Report
メタボリックシンドロームにおける腎障害とVaspinの意義
Project/Area Number |
26461361
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中司 敦子 岡山大学, 大学病院, 助教 (00625949)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 糖尿病性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が発見したアディポカインであるvaspinは、脂肪細胞から血中に分泌され、様々な臓器に作用すると考えられる。メタボリックシンドロームの基盤には小胞体ストレスが重要であることが明らかとなっているが、これまでに我々は「vaspinが、小胞体ストレスによって細胞表面に発現したGRP78のリガンドとして作用し、細胞外から小胞体ストレスを軽減する」ことを明らかにした。本研究ではこれまでの研究を発展させて、糖尿病やメタボリックシンドロームに関連した腎障害に対するvaspinの治療効果を証明し、その機序を解明したい。また、腎細胞における細胞表面GRP78のアンカー蛋白の同定とシグナル解明を行う予定である。GRP78は尿細管に高発現していることから、主に尿細管細胞に注目して、まず尿細管病変におけるvaspinの作用について検討を行う。 8週齢のVaspinトランスジェニック(Tg)マウス、Vaspin+/+マウス、Vaspin-/-マウスにストレプトゾトシン(STZ)で糖尿病を誘発し、25週齢まで観察した。STZ誘発糖尿病Vaspin+/+マウス腎臓では、尿細管腔の拡大・尿細管上皮細胞の菲薄化・間質の線維化を認め、Tgマウスではこれが軽減し、Vaspin-/-マウスでは増悪を認めた。TUNEL染色を行うと、Tg, Vaspin+/+, Vaspin-/-の順にTUNEL陽性アポトーシス細胞の増加、またウエスタンブロットによるBax発現の増強を認めた。免疫組織染色では、STZ誘発糖尿病マウス腎臓におけるGRP78発現の上昇は軽度であり、群間の有意な差を認めなかった。 またendotoxin-free BSAをTg, Vapin+/+, Vaspin-/-マウスに5日間投与し、7日目に腎組織を採取すると、糸球体面積はTgはVaspin+/+、Vaspin-/-と比較して有意差をもって糸球体肥大が抑制された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画として予定していた(1)STZ誘発糖尿病マウス腎臓におけるvaspinの作用の検討、(2)アルブミン負荷マウス腎臓におけるvaspinの作用の検討を行った。 糖尿病マウスおよびアルブミン負荷マウスの腎組織の形態学的観察により、vaspinが腎病変を改善することを明らかにした。また、尿細管細胞のアポトーシスや、小胞体ストレス関連分子の変化について検討した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、高脂肪高蔗糖(HF)食飼育マウス腎臓におけるvaspinの作用について検討し、さらに培養近位尿細管細胞を用いたvaspinの作用の検討を行う。 予備実験では、HF食飼育Vaspin-/-マウス腎臓では、近位尿細管の空胞変性を認めた。この尿細管細胞の空胞について、電顕やOil Red O染色などで詳細に検討する。また、小胞体ストレス誘導物質tunicamycinを投与すると、近位尿細管の空胞変性やアポトーシスが出現することが報告されていることから、Tgマウス、Vaspin+/+, Vaspin-/-マウスにtunicamycinを投与して、尿細管の空胞変性について検討する。また腎皮質蛋白を抽出し、ウエスタンブロットで、小胞体ストレス関連分子(eIF2α、IRE1α、PERK、GRP78など)の発現を検討する。さらに組織TUNEL染色やGRP78の免疫組織染色を行う。
|
Research Products
(5 results)
-
[Journal Article] Long-term treatment with the sodium glucose cotransporter 2 inhibitor, dapagliflozin, ameliorates glucose homeostasis and diabetic nephropathy in db/db mice.2014
Author(s)
Terami N, Ogawa D, Tachibana H, Hatanaka T, Wada J, Nakatsuka A, Eguchi J, Horiguchi CS, Nishii N, Yamada H, Takei K, Makino H.
-
Journal Title
PLoS One.
Volume: 9
Pages: e100777
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Pemt deficiency ameliorates endoplasmic reticulum stress in diabetic nephropathy.2014
Author(s)
Watanabe M, Nakatsuka A, Murakami K, Inoue K, Terami T, Higuchi C, Katayama A, Teshigawara S, Eguchi J, Ogawa D, Watanabe E, Wada J, Makino H.
-
Journal Title
PLoS One.
Volume: 9
Pages: e92647
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-