2016 Fiscal Year Research-status Report
Apop遺伝子制御によるメタボリックシンドローム抑制療法の創出
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26461364
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
安田 修 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (00372615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樂木 宏実 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20252679)
福尾 惠介 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (40156758)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
Apop遺伝子は動脈硬化を発症した血管の平滑筋細胞からクローニングされた遺伝子である。Apop遺伝子を導入した細胞では細胞死(Apoptosis)がみられることからApopと命名された。Apop遺伝子の関わる細胞死ではミトコンドリアからチトクロームcが細胞質に放出され、カスパーゼ経路を介して細胞死が誘導される。Apopタンパク質がミトコンドリアに局在していることからもミトコンドリアの関与は明らかである。本年度の研究においてApop遺伝子を欠損したノックアウトマウスの解析が進行した。Apop遺伝子を欠損したマウスから単離したミトコンドリアは活性が著しく低下していることが観察され、Apopのミトコンドリア機能における重要性が確認された。Apop遺伝子欠損マウスでは明らかな行動異常が認められ、ミトコンドリアの重要な機能であるエネルギー産生に支障をきたしていることが示唆された。ミトコンドリアでのエネルギー(ATP分子)生産にはミトコンドリア内で行われている電子伝達系、TCAサイクル、ベータ酸化が関わっている。Apopタンパク質はこれらの経路を円滑に動かすための重要な因子であると考えられる。人においては多くのミトコンドリア病が知られているが、それらのほとんどはApop遺伝子と同様に核のなかの染色体DNAにコードされている遺伝子の変異によって発症するものであり、エネギー産生に重要な遺伝子の変異によって発症するものである。これらの事実はApop遺伝子が人のミトコンドリア病の原因遺伝子のひとつである可能性を示しており、人疾患においても重要な意義を持つことを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Apop遺伝子を欠損したノックアウトマウスから多くの知見が得られている。特に現在まで全く知られていなかったApopタンパク質の機能についての新しい知見が得られている。Apopタンパク質が存在するミトコンドリアはエネルギー産生等の細胞の生存にとって多くの重要な役割を担う細胞内小器官であり、Apopはこのミトコンドリアの機能を維持するために重要な因子であるとことが明らかとなった。また、人ミトコンドリア疾患への関わりも示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
Apop遺伝子を欠損したノックアウトマウスを用いたApop機能解析を継続していく。特にミトコンドリアの有するいくつかの重要なエネルギー産生経路のなかで、どの経路に特異的に関与しているかを解析していく。
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Causes of Carryover |
代表研究者の所属機関変更により、本年度に予定していたApopノックアウトマウスの解析をより詳細に行うことが可能になったためである。そこで本年度までの結果を踏まえて解析方法を見直したことにより、実験を次年度に持ち越したため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては本年度までの結果を踏まえ、Apopノックアウトマウスのミトコンドリア形態解析ならびにミトコンドリア内のエネルギー生産系の測定をより詳細に行う予定である。そこで次年度に使用する研究費を用いてより詳細な測定系を確立し、測定を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] A trial of telmisartan prevention of cardiovascular diseases (ATTEMPT-CVD): Biomarker study2016
Author(s)
Ogawa H, Soejima H, Matsui K, Kim-Mitsuyama S, Yasuda O, Node K, Yamamuro M, Yamamoto E, Kataoka K, Jinnouchi H, Sekigami T
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Journal Title
Eur J Prev Cardiol
Volume: 23
Pages: 913-921
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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