2015 Fiscal Year Research-status Report
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26461373
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 慎一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60144862)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エストロゲン / ホルモン療法耐性 / MCF-7細胞 / T47D細胞 / シグナル伝達 / エピゲノム制御 / 乳癌 / 癌幹細胞性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの各種耐性モデル細胞の研究から、ホルモン耐性と乳癌幹細胞性との関係が疑われた。そこでMCF-7細胞を親株として作製したAI耐性株Type 1細胞、Type 2細胞、抗エストロゲン剤fulvestrant耐性株であるMFR細胞等を用いて、その癌幹細胞性を、スフェア形成能、SP画分解析、CD44/CD24発現のFACS解析などから検討したところ、ER発現を有するホルモン療法耐性株は一様に高い癌幹細胞性を示すのに対して、ER発現を失ったホルモン療法耐性株は癌幹細胞性が低いことが明らかとなった。従来ER陰性細胞であるbasal-like乳癌細胞は、癌幹細胞性がこれらのマーカーの幹細胞性が高いことが知られているが、Luminal型乳癌細胞ではこれとは大きく状況が異なると思われる。Luminal型乳癌では、その癌幹細胞性はERシグナル系によって支えられているのかもしれない。このようにLuminal型乳癌にとってERの存在の有無は癌細胞の性質を規定するのにきわめて重要なファクターであることがわかった。さらにこれらにNanogが関与している可能性もしめされた。一方、ERが陰転化した乳癌は、幹細胞性がむしろ低いことが示されたが、その予後は悪く、ホルモン療法の効果はもはや期待できず、化学療法以外有効な治療法はない。そこで、このようなERが陰転化した細胞のER遺伝子のエピゲノム制御機構についても解析し、その原因を明らかにし、乳癌の可塑性を利用した新規治療法開発の可能性について検討した。その結果、癌細胞の種類によってメチル化による制御が優先されるもの(MCF-7細胞)と、おそらくヒストン制御によるもの(T47D細胞)があることが推察された。一部のヒストン修飾薬がERの再発現やホルモン療法の感受性回復を誘導することが示され、新たな治療ストラテジーの可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で述べたように、交付申請書に記載した研究実施計画の大部分を達成し、これまで明らかとなっていなかったLuminal型乳癌とそのホルモン療法耐性株の癌幹細胞性を明らかにし、新たな知見を得ることができた。また、研究の進展に伴って、その方向性が当初の予定から若干修正されてきた。特に本年度はER発現の可塑性、その機構としてエピゲノム制御解明に力を入れ、臨床応用可能な進行再発Luminal型乳癌の新たな治療戦略の可能性が見えてきた。一方、乳癌臨床検体を用いた癌幹細胞性の検討は引き続き継続し、結果を蓄積している。
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Strategy for Future Research Activity |
乳癌幹細胞性とホルモン療法耐性との関係の解明を目指し、引き続き、手術検体が入手できたときに臨床検体を用いた検討を行って、そのデータをさらに蓄積していく。特にNanogやKlf4など、これまでのin vitro研究の結果から重要性が示唆された因子に注目した検討も行っていく。一方、予後が悪いが幹細胞性はむしろ低いことが示された、ER陰転化ホルモン療法耐性細胞についてさらに研究を進め、エピゲノム制御薬を用いた新たな耐性克服のための戦略を検討したい。
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Research Products
(24 results)