2014 Fiscal Year Research-status Report
ヘプシジン関連創薬のためのEPICシステムを応用した活性型ヘプシジン測定系の開発
Project/Area Number |
26461394
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
佐々木 勝則 旭川医科大学, 医学部, 特任教授 (60336394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高後 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10133183)
大竹 孝明 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10359490)
生田 克哉 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00396376)
田中 宏樹 旭川医科大学, 医学部, 特任講師 (70596155)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヘプシジン / 鉄 / EPIC / ラベルフリー / cell-based bioassay |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘプシジン(Hpc)は細胞膜表面のフェロポルチン(Fpn)に作用し小腸や網内系細胞からの鉄の供給を負に制御する因子である。Hpcの遺伝子異常や転写プロモーターへのシグナル不全などによるHpc産生低下は鉄過剰状態を引き起こす。一方、炎症性サイトカインによるプロモーター活性増強やnegative regulatorであるTMPRSS6/MT-2の遺伝子異常などによるHpcの過剰産生は鉄欠乏状態を招く。このようなHpcに起因する病態に対する治療戦略として、Hpc agonists/antagonistsの開発が注目されている。そこで、Hpc活性の測定・評価システムとして、Fpn-GFP (Green Fluorescent Protein)を安定に発現した細胞株を用いたcell-based bioassayを構築し、その有効性の検証を目的とした。Fpn-GFP融合蛋白発現ベクターをHEK293細胞に遺伝子導入後、ソーティングおよび限界希釈法によりFpn-GFP低発現クローンを得た。Hpc活性は、Fpn-GFPのinternalization/degradationによる蛍光減弱をFlow Cytometryで評価した。さらに、Fpn-GFPのinternalization/degradationを動的な質量の再分布・変化として捉えるDynamic mass redistribution (DMR) 評価方法を検討した。3種類のヘプシジン・アイソフォーム(Hpc-20、-22、-25)の活性を比較検討したところ、既報にてFpnとの結合が確認されているHpc-25を添加したアッセイ系のみが、蛍光減弱、DMR変化を示した。本システムは、試料中のHpc-25濃度を生物活性として直接定量することが可能なシステムであることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Fpn-GFP低発現細胞に3種類の合成ヘプシジン・アイソフォーム(Hpc-20、-22、-25)を個別に添加し、Hpc-Fpnの結合に起因するFpn-GFPのinternalization/degradationによる蛍光減弱をFlow Cytometryで測定してHpc活性を評価したところ、Hpc-25のみが、添加濃度依存的に蛍光強度の平均値(MFI)の減少を示した。次に、in vitro サンプルを用いて、Hpc活性測定を検証した。Hpc産生細胞株HepG2細胞の培養系にbone morphogenetic protein 2 (BMP-2)を添加し24時間後の培養上清中のヘプシジン濃度を、合成Hpc-25添加系で作成した検量線より算出した。一方、BMP-2刺激後の細胞からtotal RNAを抽出し、RT-PCRにてHpc mRNAの変化を捉えた。RT-PCRの結果、BMP2刺激によりHpc mRNA量の増加を確認することができ、同時に培養上清中に活性を持ったHpcが分泌されていることを確認することができた。次に、多検体同時処理システム(High-throughput screening)として、ラベルフリー光学技術とセンサー内蔵光学マイクロプレート対応のEpicセルベースアッセイ導入の可能性を検討した。予め96ウェル・ラベルフリー測定用マイクロプレートに播種したFpn-GFP低発現細胞に各種ヘプシジン・アイソフォームを添加し、DMR(dynamic mass redistribution)をモニタリングした。 結果、Hpc-25を添加した系のみが動的な質量の再分布・変化を示した。当初目的としていたcell-based bioassay同時多検体測定システムの有用性を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Cell-based bioassay同時多検体測定システムにおける測定条件の最適化作業に向けて、光学ラベルフリー・システムを搭載したマルチモードプレートリーダー(EnSpire)の導入を行う。当該機器を用いることで、real-time response追跡が可能となることから、assayに影響を及ぼす測定時温度、測定時間などの各種パラメーターの最適化を詳細に検討することが可能となる。より短時間で信頼性の高いHpc活性測定システムを構築していく予定である。
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Causes of Carryover |
クローニングしたFpn-GFP低発現細胞において、細胞表面でのFpn-GFP発現が不安定であることが明らかとなった。そこで、当該細胞株の状態を精査する目的で、Flow Cytometryを用いたHpc活性測定を中心に行ったことから、使用額が予定額より低くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はマルチモードプレートリーダー(EnSpire)の導入によるcell-based bioassayを中心に研究を進め、Hpc活性測定のための同時多検体測定システム構築に繰越額を当てる予定である。
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