2014 Fiscal Year Research-status Report
血小板受容体CLEC-2の関節リウマチにおける役割:抗リウマチ薬標的蛋白の可能性
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26461399
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
井上 克枝 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (10324211)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CLEC-2 / 関節リウマチ / 血小板 / ポドプラニン |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、関節炎惹起抗体カクテルを注射してリウマチ用関節炎を惹起するモデルマウスについて検討した。C57Bl/6マウスに関節炎を惹起するには大量の抗体と共にLPS注射が必要であったが、LPSを注射で血小板減少が惹起されて、関節リウマチにおける血小板受容体CLEC-2の役割を検討するには不適当であった。そこで、KBx/N マウスの血清を C57Bl/6 マウスに注射する関節炎モデルを試みた。このモデルでは、LPS の投与なしに関節炎を惹起できた。抗 CLEC-2 抗体投与によるCLEC-2欠損マウスとコントロール IgG 投与コントロールマウスに、KBx/N 血清を投与して、関節炎の程度を比較したところ、抗 CLEC-2 抗体投与マウス群で有意に関節炎が悪化した。次に、放射線照射骨髄キメラマウス作製による CLEC-2 欠損キメラと野生型キメラにKBx/N 血清を投与したところ、CLEC-2 欠損キメラで有意に関節炎が抑制されていた。マウスではCLEC-2 は好中球にも発現しており、CLEC-2 刺激で TNFalpha; が放出されることが報告されている。抗体による CLEC-2 欠損では、血中の CLEC-2 抗体が好中球のCLEC-2も刺激してTNFalpha; が産生され、関節炎を増悪したと考えられた。血小板の CLEC-2 は関節リウマチの増悪をもたらすことが示唆された。 既報と異なり、ヒトリウマチ(RA)滑膜細胞もヒト変形性関節症(OA)滑膜細胞も、ポドプラニンを発現することがフローサイトメーターで確認された。購入したヒト正常繊維芽細胞もポドプラニンを発現しており、ポドプラニン陰性対照となる細胞がなかった。そこで、リコンビナント CLEC-2 とコントロール蛋白をRA滑膜細胞に加えたところ、リコンビナント CLEC-2 添加群でIL-6, CXCL3 といった炎症性サイトカインの mRNA が有意に増強した。 以上より、CLEC-2 はRA滑膜細胞に結合して炎症性サイトカインを産生させ、関節リウマチを悪化させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低分子化合物の検討はまだ行われていないが、最も困難と思われたリウマチモデルマウスの確立や滑膜細胞の分離・培養の手法が確立され、血小板CLEC-2 が関節リウマチの増悪因子となることを示唆するデータが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はCLEC-2 が RA 進展に関与するなら機序を明らかにするため、培養細胞を用いたin vitro での実験を主として行う。滑膜細胞に CLEC-2 欠損血小板、野生型血小板、あるいは血小板活性化上清を添加して、産生が増加するサイトカインを mRNA、あるいはProteome Profiler により網羅的に検討する。CLEC-2 リコンビナントでも同様の検討を行い、CLEC-2 により活性化されて放出された顆粒内容がサイトカイン産生を惹起するのか、CLEC-2 の結合によりポドプラニン側に伝達される何らかのシグナルがサイトカイン産生を促進するのか検討する。また、CLEC-2 欠損血小板、野生型血小板、血小板活性化上清、あるいはリコンビナント CLEC-2 の滑膜細胞の遊走や増殖に対する影響についても検討する。
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Causes of Carryover |
日本血液学会参加費用として旅費を計上していたが、出席者が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として、サイトカインアレイ、培養用ディッシュやメディウム、遊走実験用ボイデンチェンバーといった消耗品に使用する。
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Remarks |
http://www.med.yamanashi.ac.jp/clinical/clin0lab/
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Measurement of soluble C-type lectin-like receptor 2 in human plasma.2015
Author(s)
Kazama F, Nakamura J, Osada M, Inoue O, Oosawa M, Tamura S, Tsukiji N, Aida K, Kawaguchi A, Takizawa S, Kaneshige M, Tanaka S, Suzuki-Inoue K (corresponding author), Yukio Ozaki.
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Journal Title
Platelets
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 血小板とリンパ管発生2014
Author(s)
井上克枝
Organizer
第76回 日本血液学会学術集会 教育講演
Place of Presentation
大阪国際会議場、大阪
Year and Date
2014-10-31 – 2014-11-02
Invited
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