2014 Fiscal Year Research-status Report
新たに同定したマクロファージ分化誘導因子IL-32の機能解析
Project/Area Number |
26461407
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鈴 伸也 熊本大学, エイズ学研究センター, 准教授 (80363513)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マクロファージ / IL-32 / M-CSF |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージはサイトカインM-CSFやGM-CSFなどで異なった分化制御を受け、その制御バランスが炎症、感染、組織修復、腫瘍等、様々な病態と密接に関連する。申請者はM-CSFを中心に研究してきたが、その過程で、別のサイトカインIL-32もマクロファージを分化・生存させ、更には、M-CSFと協調して、より抗炎症性の表現型のマクロファージを誘導し、生存もより延長させる事を初めて見出した。 表現型に関しては具体的には、ヒト初代培養マクロファージを主材料にして、以下を見出した。IL-32は炎症性サイトカイン・ケモカインの産生・CD80の高発現を誘導した。M-CSFの共存在下では、これら炎症性サイトカイン・ケモカインの産生・CD80の高発現には大きな変化は認められなかった。一方で、IL-32は興味深い事にM2様の抗炎症性分化も誘導した(例えば、強い貪食能、CD14やCD163の高発現など)。そしてこれら表現型はM-CSFの共存在下で更に増強された。又、IL-32がHIV-1(ヒト免疫不全ウイルス1)の複製を抑制し、M-CSFがその抑制効果と拮抗する事も明らかにした。 以上の結果は、IL-32がユニークなマクロファージ制御能を有する事が明らかとなった。つまり、炎症性分化と抗炎症性分化を同時に誘導し、かつM-CSFと強調して抗炎症性分化を更に進める事が明らかとなった。一方では、HIV-1複製に関しては拮抗する事も明らかとなった。この様な活性を示すサイトカインは他に報告されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロファージ分化は様々な病態と密接に関連し、GM-CSFやM-CSFなどのサイトカインが間接的にその過程を制御する事が明らかにされてきた。一方で申請者は、IL-32が新たなマクロファージ分化・生存誘導サイトカインであり、M-CSFとマクロファージ分化と生存の点で協調作用する事を見出した。本研究では、新旧3つのマクロファージ分化・生存誘導サイトカインの比較と協調作用という新たな観点から、まだ全容が明らかとなっていない、マクロファージ分化・機能制御・病態との関連に理解に貢献する事を目的として進めるが、初年度はM-CSFとIL-32の関係について詳細を明らかに出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降は、これまでの発見(IL-32による特徴的なマクロファージ誘導とM-CSFとの協調作用)の分子基盤を明確にする(転写因子発現・細胞内シグナル解析など)。一方、M-CSFとの協調作用からIL-32が2型マクロファージの増幅因子である事が明らかとなったため、GM-CSFとの協調作用も解析し、1型マクロファージの増幅因子であるか(表現型解析など)、分子基盤も含めて明確にする。
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