2014 Fiscal Year Research-status Report
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26461411
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仁田 英里子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80401123)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | クロマチンリモデリング因子 / BRG1 / BRM / TERT / 造血幹細胞 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでの研究結果により、TERTがテロメア長非依存的に造血幹細胞を維持する分子機構を明らかにしてきた。研究を発展させるに当たりさらに異なる機構でTERTが造血幹細胞を維持する可能性を探るため、TERTの結合因子に注目し、核小体因子nucleosteminが造血幹細胞のDNA損傷修復に貢献して造血幹細胞を維持することを明らかにした。また、上皮幹細胞においてTERTがクロマチンリモデリング因子BRG1と結合しWnt標的遺伝子の発現を維持することが幹細胞制御に重要であることが報告されているため、造血幹細胞におけるクロマチンリモデリング因子BRG1およびその相同分子BRMの重要性を検証した。クロマチンリモデリング因子とは、転写の基本単位ヌクレオソームに結合し能動的にクロマチンを再構築することで、標的遺伝子に対する転写関連タンパク質のアクセスを容易にし、その転写発現を制御する重要な分子である。造血細胞においてBRG1は前駆細胞や分化した細胞の一部にも発現する一方で、BRMは長期再構築能を持つ未分化な造血幹細胞に特異的に発現し分化した細胞では発現が低下していた。このことから我々はBRMノックアウトマウスの造血細胞を解析したところ、競合的造血幹細胞移植においてBRM欠損造血幹細胞は特異的に失われ、BRMが造血幹細胞の長期再構築能維持に必須であることが示された。このときBRM欠損造血幹細胞では細胞周期が活性化しており、BRMは造血幹細胞の静止期維持に貢献することが示唆された。これらの性質は何れも造血幹細胞特異的に見られた。現在、BRMが造血幹細胞を制御する分子機構にアプローチするため、BRM欠損造血幹細胞を用いたRNA-seqによる発現遺伝子解析およびChIP-sequenceによるBRMの標的遺伝子探索を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BRM欠損造血幹細胞の生物学的な機能解析が概ね終了し、現在、その分子機構について網羅的にアプローチを進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中である、BRM欠損造血幹細胞を用いたRNA-seqによる発現遺伝子解析およびChIP-sequenceによるBRMの標的遺伝子探索などの網羅的解析について詳細に検討したのち、それを裏付けるための生物学的検討を加えて、分子機構を明らかにする。
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