2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞周期チェックポイントによる抗癌剤耐性の機序と制御による造血器腫瘍の新規治療法
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26461416
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒須 哲也 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (40361696)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 造血器腫瘍 / 細胞周期チェックポイント / 分子標的治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血器腫瘍細胞の発症や進展に重要な恒常的活性化チロシンキナーゼ変異体であるBCR/ABL、Jak2-V617FおよびFlt3-ITDを発現した白血病細胞およびモデル造血細胞株を用いて検討を行い、p53がp21などの標的遺伝子産物の発現導を介して抗癌剤誘導性のChk1活性化を抑制することを見出した。また、これらの恒常的活性化チロシンキナーゼ変異体の活性抑制のみでなく、下流のPI3K/Akt経路を抑制することによっても、抗癌剤によるアポトーシス誘導が相乗的に促進される事を見出した。さらに、p53の発現誘導を亢進させるnutlin-3がチロシンキナーゼ阻害薬と同様に、G2/M期での細胞周期arrestを抑制しapoptosisの誘導を相乗的に誘導しうる事を示したが、この相乗効果にはp53の発現輸誘導が必須の役割を果たす事を、p53の優勢抑制型変異体p53-DDや野生型p53を発現させた白血病細胞などを用いて明らかにすることが出来た。これらの結果はChk1を介したDNA損傷誘導性チェックポイント活性化調節の分子機構解明へ向けて重要な意義を有するのみでなく、BCR/ABLのT315I変異を含めた治療抵抗性造血器腫瘍に対する化学療法薬と併用した統合的分子標的療法の新規開発に直結しうる臨床的にも極めて重要な意義を有する(投稿中)。また、急性骨髄性白血病で最も頻度の高いFLT3-ITD遺伝子変異を有する白血病細胞が、PI3K/AKT活性化シグナル伝達経路とSTAT5活性化経路を阻害することによりmTORC1/4EBP1/mTOR経路が相乗的に抑制される事を見出したが、その分子機構にはSTAT5によるPimキナーゼの発現が重大な役割を果たし、Pimキナーゼ阻害薬とPI3K/AKT阻害薬により著明な治療効果が期待出来る事を明らかにした(第 77 回日本血液学会学術集会および投稿準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度行った研究をさらに進めるとともに、平成27年度計画していた研究を行い、研究過程で見いだした結果について学会発表を行うとともに現在投稿中及び投稿準備中である。以上の結果をさらに進め、分子機構を明らかにすることにより治療抵抗性造血器腫瘍に対する新規治療法に直結しうる臨床的にも重要な意義を有する可能性があると考えられるためおおむね順調に進行しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度および平成27年度に見いだした結果をさらに進め、分子機構を明らかにすることにより治療抵抗性造血器腫瘍に対する新規治療法に直結しうる臨床的にも応用可能な研究をすすめる。
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