2016 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫及びホジキンリンパ腫のPU.1発現誘導を利用した治療応用の基礎研究
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26461427
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
奥野 豊 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (80363539)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PU.1 / 多発性骨髄腫 / DLBCL / ホジキンリンパ腫 / IRF4 / IRF7 / apoptosis / cell cycle arrest |
Outline of Annual Research Achievements |
我我々は更にCg1-Cre PU.1ノックアウトマウスの70%にびまん大細胞B細胞リンパ腫が発症することを見出した。つまりPU.1をpost germinal B細胞から形質細胞の分化段階でノックアウトしたマウスでは18ヶ月齢を越えると高率にB細胞リンパ腫を発症し、その腫瘍細胞はPU.1がノックアウトされた細胞由来である。従って、PU.1はpost germinal B細胞から形質細胞の分化段階での腫瘍抑制因子としても働き、PU.1が発現していないとDLBCL用のリンパ腫が発症することがわかった。我々はこれまでPU.1での多発性骨髄腫の腫瘍抑制因子として働くメカニズムを解明している。。実際にはtet-offの系を用いてPU.1をconditionalに骨髄腫細胞株に発現させると細胞増殖停止と細胞死が起こるが、この際に骨髄腫細胞の生存に必須のIRF4の発現が低下していることを示した。IRF4をknockdownすると殆どの骨髄腫細胞株は細胞死を起こすことがこれまで示されている。今回、我々は調べた6つの骨髄腫細胞株全てにおいてPU.1がIRF4の発現を低下させることを示した。このPU.1によるIRF4発現低下のメカニズムについてはPU.1が直接IRF4のプロモーターに結合していることをクロマチン沈降法で確認した。レポーターassayを行い、このPU.1の結合がIRF4のプロモーター活性を抑えること、それがIRF4プロモーターの二つのPU.1 biding site に依存していることがわかった。IRF4がIRF7 promoterに結合してその発現を抑えていることが判明し、PU.1によるIRF4の発現低下が IRF7の発現低下を解除してIRF7の発現を上げ、その結果IRF7によって発現調節されるIFNbの発現を上昇させアポトーシスを引き起こしていることを突き止めた。これらのメカニズムからPU.1による細胞増殖停止と細胞死にはIRF4の発現低下が関わっていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年4月14日16日の2回、熊本地震が当科の研究室のある臨床研究棟を直撃した。このため、殆どの細胞培養器や機器は床に転倒するなどして破壊され、一時的に研究は完全にストップした。その後、病院の中の研究室や、ちょうど2017年1月より使用可能となった新臨床研究棟にて研究を再開した。しかしながら、細胞の培養条件の違いや、細胞培養のやや難しい細胞株などの培養再開に手間取り、また破壊された機器の再購入などでの実験の条件設定などで多くの時間を浪費した。従って通常よりも多くの時間を有し、実験自体は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、Cg1-Cre PU.1ノックアウトマウスに発症したびまん大細胞B細胞リンパ腫(DLBCL)の発症機序について解明を進めたい。特に、PU.1の発現がないことでどのようなことが起こっているのか、各遺伝子の発現をみるためにRNA-seqを行っている。腫瘍化に結びつくような遺伝子発現異常がないか、あるいは遺伝子発現Pathwayについて解析する。また、DLBCL細胞でどのような遺伝子異常が蓄積しているのか、mutational analysisを行う予定である。また、PU.1の発現のない細胞でどの時点で腫瘍化がおこるのか、時系列での解析を実施していく。つまりモノクローナルな腫瘍になる前にオリゴクローナルな細胞増殖があるのか、そしてそこからどのように腫瘍化するのかを探る。またヒトのDLBCLにおいてPU.1の発現低下が認められるのか、リンパ腫組織の免疫染色やWestern blotや細胞内蛋白のFACS analysisなどを用いて明らかにする。 概要で述べたようにPU.1はIRF4の発現低下を介して骨髄腫細胞に細胞死を引き起こす。今後は脱メチル化剤、HDAC阻害剤、レナリドマイド、ポマリドマイドなどの免疫調節薬同様にPU.1を発現上昇させるような薬剤のスクリーニングを行って行く。 一方、我々はこれまで骨髄腫細胞に細胞死を引き起こす化合物をスクリーニング中である。これまで1500の化合物を検索した。この中に様々なレベルで骨髄腫に細胞死を起こす化合物を見出している。今後はこれら化合物の中にPU.1やTRAILの発現を上昇させる薬剤がないかを検索している。
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Causes of Carryover |
4月14日に前震、4月16日に本震の熊本地震が発生しました。この地震により熊本大学生命科学研究部血液内科の入っている臨床研究棟が多大な被害を受けました。同時に、当科の実験施設は甚大な損害を受けております。培養器は床に転落し、電源は一旦切れ、従って実験に必要な細胞の全てが失われました。建物にはほぼ1ヶ月間立ち入りが出来ない状態となり、建物自体の耐震性診断が必要となりました。このため、実験の再開には長期間を要しました。当科も検討の上、病院機能の入っている中央診療棟へ医局を移転、同建物内の感染免疫診療部の実験室の一部を使用させて頂き実験を再開しました。従って長期の研究の中断があり、十分な研究の推進ができませんでした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Cg1-Cre PU.1ノックアウトマウスでのB細胞リンパ腫発症のメカニズムの解析のたに必要な消耗品購入が必要である。または研究成果発表のため日本血液学会と日本骨髄腫学会に出張予定である。 平成29年9月までに研究結果の取り纏めを行い、平成30年3月までに論文投稿することで研究結果の取り纏めを行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] A xenograft model reveals that PU.1 functions as a tumor suppressor for multiple myeloma in vivo2017
Author(s)
Nishimura N, Endo S, Ueno S, Ueno N, Tatetsu H, Hirata S, Hata H, Komohara Y, Takeya M, Mitsuya H, Okuno Y.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun.
Volume: In press
Pages: In press
Peer Reviewed
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