2015 Fiscal Year Research-status Report
網羅的なゲノム解析によるテーラーメイド腫瘍抗原の同定
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26461448
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
近藤 英生 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30379747)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CTL / 腫瘍抗原 / テーラーメイド抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代シーケンス技術の進化によって、各患者の腫瘍細胞における体細胞遺伝子変異を網羅的に解析することが可能となった。これらの変異のうちアミノ酸置換を伴うものは、自己体内には存在しない非自己の抗原であるため、HLAクラスIのいずれかに提示され、細胞傷害性T細胞(CTL)の標的となり得る。腫瘍における体細胞遺伝子変異の総数が10個程度と少ない急性骨髄性白血病を対象とし、免疫による抗腫瘍効果が確立している同種造血幹細胞移植において、移植後の患者リンパ球の白血病体細胞遺伝子変異に由来するエピトープの認識を解析する。なお、HLAについては、患者のもつすべてのHLAクラスIを対象とする。本研究の成果は、同種造血幹細胞移植における腫瘍特異的ドナーリンパ球輸注や固形がん患者も含めたテーラーメイド腫瘍免疫療法の開発の基礎となる。 ・本研究を「網羅的なゲノム解析によるテーラーメイド腫瘍抗原の同定」をしてプロトコール作成し、当院ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会に申請、承認を受けた。 ・該当患者2名より文書同意を得た。1名の初診時白血病細胞のターゲットシークエンスを行い、FLT3 Y572C変異、BCORL1 A581T変異を検出した。 ・人工遺伝子作成の準備として、GSリンカー部分を含めたプライマーを作成し、目的の遺伝子配列をクローニング、それぞれのPCRプロダクトを overlapping PCR 法で結合し、ダイレクトシークエンス法にて、正しく合成されていることを確認した。 ・抗原提示細胞として用いるCD40活性化B細胞作成について、現在NIH3T3由来細胞株を用いているが、抗CD40抗体による方法でも作成を行い、CD40-B細胞樹立を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会での承認が昨年度12月と時間がかかったが、以後生殖細胞系列遺伝子変異を含む遺伝子変異解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
全エクソン解析によりアミノ酸変異を伴う体細胞遺伝子変異を抽出し、それらをすべて含む人工遺伝子作成を平成28年度中に行い、末梢血CD8陽性T細胞の反応性を確認する。 さらに1名の患者より同意を得て、白血病細胞の全エクソン解析を行い、上記と同様に研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
倫理委員会からの承認の遅れに伴い、患者検体を用いた研究開始が遅れたため、次年度使用額が生じる結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度および平成27年度施行予定であった全エクソン解析の費用として使用する。
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