2014 Fiscal Year Research-status Report
造血幹細胞へのT細胞レセプター遺伝子導入による革新的造血幹細胞移植療法の開発
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26461450
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
東 太地 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (10396252)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞免疫療法 / 造血器腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
Graft-versus-host disease (GVHD)に依存せずgraft-versus-leukemia (GVL)効果のみ期待できる革新的自己造血幹細胞移植療法の開発の目的で、白血病特異的細胞傷害性T細胞(CTL)クローン由来T細胞レセプター(TCR)遺伝子をヒト造血幹細胞に遺伝子導入し、免疫不全マウス体内でのT細胞の分化・増殖を検討した。 方法:我々のグループが樹立した白血病を選択的に殺傷するWT1特異的HLA-A24拘束性細胞傷害性T細胞(CTL) クローンからTCR遺伝子を単離し、その発現ベクターを構築した。タカラバイオ株式会社との共同研究によって、内在性TCR発現を抑制し、WT1特異的TCRを選択的に発現できるベクターを開発した。本研究ではこの発現ベクターを使用した。WT1-TCR遺伝子をヒトCD34陽性造血幹細胞に遺伝子導入し、我々の共同研究グループが開発したHLA-A24トランスジェニック免疫不全NSGマウスに移植した。その後、脾臓細胞中のヒトリンパ球の表面形質ならびに機能を解析した。 結果:移植後2~3か月後の脾臓細胞にWT1ペプチド・HLA-A24複合体テトラマーで染色されるT細胞が確認された。これらのT細胞の細胞傷害活性を調べたところ、WT1特異的HLA-A24拘束性細胞傷害性を示した。さらに、in vitro解析からヒト白血病細胞をHLA-A24拘束性に傷害することが示された。 考察:腫瘍特異的TCRを造血幹細胞に遺伝子導入し、自己造血幹細胞移植を行う事で、GVHDを来さない新たな造血幹細胞移植が可能であることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、WT1特異的HLA-A24拘束性遺伝子発現レトロウイルスベクターを構築し、ヒトCD34陽性造血幹細胞に遺伝子導入できた。また、新規免疫不全マウスであるHLA-A24トランスジェニック免疫不全NSGマウスに移植でき、マウス体内でヒトT細胞の分化を証明できた。さらに、in vitro機能解析から、腫瘍特異的TCRを造血幹細胞に遺伝子導入し、自己造血幹細胞移植を行う事で、GVHDを来さない新たな造血幹細胞移植が可能であることのProof of concept(POC)が達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究によって、腫瘍特異的TCR遺伝子をヒト造血幹細胞に遺伝子導入し、HLAトランスジェニック免疫不全マウスに移植することで、マウス体内で腫瘍特異的ヒトCTLが分化・増殖できることを証明できた。このことによって、命題である腫瘍特異的TCR遺伝子導入による新たな自己造血幹細胞移植療法のPOCが達成できた。来年度は臨床応用に向けて、さらに実験回数を増やし普遍性を検証する。さらに、抗腫瘍効果をin vivo実験系で検討する計画である。
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Causes of Carryover |
実験に使用するマウス・培養液・試薬などの消耗品の使用量が当初に計画していた予定量より比較的少なく、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床応用にむけて研究をすすめており、普遍性を検証するため、さらに実験回数を増やすこととし、次年度の基礎的実験に関する消耗品などの物品費として、この費用を使用する。
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