2014 Fiscal Year Research-status Report
同種造血幹細胞移植におけるHLAハプロタイプに基づく移植免疫反応の解析
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26461455
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
森島 聡子 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40463195)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / HLAハプロタイプ / 急性GVHD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本人に特有なHLAハプロタイプの構造を考慮し、同種造血幹細胞移植に及ぼすHLA領域内の部位を同定することを目標としている。平成26年度における進行業況は以下の通りである。 1) HLAアリル型及びHLAハプロタイプそのものが移植後の急性GVHDや予後に与える影響については、日本骨髄バンク (JMDP)を介して非血縁者間骨髄移植が行われた患者とドナー6967ペアのHLAアリルのリタイピングデータと臨床データを用いて解析した。患者とドナーのHLA-A*33:03, -C*14:03, -B*44:03, -DRB1*13:02, -DQB1*06:04は有意に急性GVHD 2-4度のリスクが低いことと関連し、一方、患者とドナーのHLA-B*51:01と患者のHLA-C*14:02は有意に急性GVHD 3-4度のリスクが高いことと関連することを示した。 2) 日本人の主要なHLAハプロタイプのブロック構造の同定については、JMDPを介して移植が行われ、ゲノムワイド関連解析を施行した1500ペアのSNPデータを用い、日本人で頻度の高いハプロタイプのホモ接合体で得られたコンセンサス配列を基に、ヘテロ接合体での対側ハプロタイプのSNP配列を決定し、配列が均一な30種類の主要なHLAハプロタイプの共通領域を決定した。 3) HLA領域内の免疫関連遺伝子の多型とHLAハプロタイプとの関連解析については、JMDPの移植例でHLA-A, -B, -C, -DRB1が一致した患者とドナー 1500ペアのサンプルを用いて、TAP1, TAP2, LMP1 LMP2などの遺伝子のSNPタイピングをTaqMan法で施行し、その結果の解析を現在進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模な非血縁者間骨髄移植例のHLAリタイピングデータと臨床データを用いて解析を行うことで、移植後の急性GVHDや生存に有意に関連するアリルを検出することができた。また、移植症例のmulti-SNPデータを用いることで、日本人の主要なHLAハプロタイプの構造について、特定のHLAアリルを含む共通領域の概要を決定することができた。 さらに、HLA領域内の非HLA遺伝子多型については、免疫反応に重要な数種類の遺伝子についてSNPタイピングを行った。これらのタイピングの結果と臨床データとの関連については、現在解析中である。 またもう一つの課題は、患者とドナーのHLAアリルとmulti-SNPデータから、各個人におけるHLA-AからHLA-DQB1までの約3 Mbの領域でハプロタイプの相を同定できたペアのデータを用い、患者とドナーのハプロタイプ適合性と移植臨床データとの関連について検証を行うことであるが、その解析は現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られたHLAアリルと移植後の急性GVHDとの関連性について、日本人のHLAハプロタイプの構造及びSNPデータの解析結果を統合し、移植免疫反応に影響を与えるHLA領域内の責任部位を同定していく。得られた解析結果を考察しながら、さらに新たな遺伝子のSNPタイピングやシークエンスを行う。 また、multi-SNPで決定された患者とドナーのHLAハプロタイプ適合性と移植免疫反応の関連について、さらに解析を進める。
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Causes of Carryover |
HLA領域内の免疫関連遺伝子多型のタイピングについては、臨床データとの関連解析を進めながら、新たな領域のSNPタイピングやシークエンスを行う予定であったが、移植後の臨床データとSNPの関連を同定することに時間を要し、購入予定であったプローブ等の試薬の決定が年度内にできなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまで行ったSNPタイピングの結果と移植の臨床成績との関連解析を進め、新たに解析が必要な遺伝子のSNPタイピング及びシークエンスを行う。また、国内及び外国での研究成果発表の旅費及び論文発表のための費用とする。
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[Journal Article] Increased T-cell responses to Epstein-Barr virus with high viral load in patients with Epstein-Barr virus-positive diffuse large B-cell lymphoma.2015
Author(s)
Morishima S, Nakamura S, Yamamoto K, Miyauchi H, Kagami Y, Kinoshita T, Onoda H, Yatabe Y, Ito M, Miyamura K, Nagai H, Moritani S, Sugiura I, Tsushita K, Mihara H, Ohbayashi K, Iba S, Emi N, Okamoto M, Iwata S, Kimura H, Kuzushima K, Morishima Y.
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Journal Title
Leuk Lymphoma.
Volume: 56
Pages: 1072-1078
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Biological significance of HLA locus matching in unrelated donor bone marrow transplantation.2015
Author(s)
Morishima Y, Kashiwase K, Matsuo K, Azuma F, Morishima S, Onizuka M, Yabe T, Murata M, Doki N, Eto T, Mori T, Miyamura K, Sao H, Ichinohe T, Saji H, Kato S, Atsuta Y, Kawa K, Kodera Y, Sasazuki T
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Journal Title
Blood
Volume: 125
Pages: 1189-1197
DOI
Peer Reviewed / Open Access