Outline of Annual Research Achievements |
肺動脈肺高血圧症(PAH)病態解明のため、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)・単球・マクロファージの役割と, 分化に重要な転写因子GATA-2の役割を研究した.今年度は,GATA2ノックアウト(KO)のPAH発症への関与を探究した. 私たちは, GATA2コンディショニングKOマウスを樹立した.GATA2floxマウスはGATA2のDNA結合に重要なエクソン5の両端にfloxを入れ,ER-Creマウスと掛け合わせる. ER-Creは細胞特異的プロモーターで制御されず,タモキシフェン投与によりGATA2のエクソン5が欠損することで全身のGATA2機能欠損を来たす. GATA2-KOとWTマウスを,低酸素状態で飼育しPAHを誘導した. 肺動脈リモデリング, 炎症細胞浸潤の程度, 心重量で右心負荷を評価した.マウスを低酸素室で飼育, タモキシフェンを腹腔内投与しday 20に解析. GATA2-KOマウスでは,WTより右心負荷が低い傾向であった. 肺動脈リモデリングはGATA2-KO, WTの両者で認めたが有意差は明らかでなく, 一方GATA-2 KOで炎症細胞浸潤を比較的多く認めたが, 浸潤細胞の種類や機能について, 更に研究が必要となる.GATA2過剰発現系は樹立に至らず, 今後の課題となった. またヒトMDSCや単球のtranscriptをマイクロアレイで定量比較,パスウェイ解析を行ない, GATA-2と関連する遺伝子を推定する予定であった. ヒト単球分画をMACs beadsにより採取し, RNAを保存したが容量が少なく, マイクロアレイを施行できず. 今後もさらに検体収集し, 精査することが課題となった.膠原病PAHに関して, 炎症性機序を病態とするシェーグレン, 全身性エリテマトーデスと,線維化を病態とする強皮症に関して, 免疫抑制療法の効果を比較検討して学会発表した.
|