2014 Fiscal Year Research-status Report
Myotubularin分子群の顕微鏡的多発血管炎の発症機構に関する解析
Project/Area Number |
26461458
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
木村 洋貴 秋田大学, 学内共同利用施設等, 助教 (30382899)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 顕微鏡的多発血管炎 / myotubularin / NETs |
Outline of Annual Research Achievements |
顕微鏡的多発血管炎 (MPA) は小型血管への好中球浸潤を伴う壊死性血管炎で,肺胞出血,糸球体腎炎などを合併する自己免疫疾患であり,病因や病態は未解明な点が多い.Anti-neutrophil Cytoplasmic Antibody (ANCA) が産生されることが特徴である. 従来の血管炎動物モデルは,血管病変の分布(スペクトラム)がヒトのMPAとは異なるためMPAの病態解明や新たな治療法の開発にはヒト型MPAを再現できる動物モデルの確立が待たれていた. 最近,好中球の活性酸素を産生するNOX活性依存的にNETsという細胞外構造物を形成し微生物と結合し殺菌する新たな生体防御機構が発見された.異常なNETs形成は,ANCA産生へとつながりMPAを発症することが示唆されている.しかし,これがどのような機構の破綻を介して惹起されるかは未解明である.NOXの活性制御にはイノシトールリン脂質 (PIs) が関与することから,研究者は,PIs 代謝酵素であるmyotubularin ファミリー (MTMRs) 分子群に着目した. 平成26年度の研究実績として,独自に野生型マウスにヒト型MPAを再現できる誘発法を開発し,肺毛細血管への好中球浸潤,腎病変,末梢白血球増多,ANCA (間接蛍光抗体法) 上昇を認め,ヒト型MPAを再現できた.独自にマウス MPO-ANCA ELISA を作製し,測定値はMPA発症マウスで上昇した,NOX活性が抑制されているマウスにこの方法でMPAを誘発したところ,肺,腎病変,ANCA値上昇が有意に抑制された.このMPA誘発法はNOX活性依存的にMPAを惹起すると考えられた.以上の結果から,ヒト型MPA誘発モデルを確立した.好中球特異的 MTMRs 遺伝子欠損マウスのいくつかの遺伝子型にこの方法でMPAを誘発し,組織学的解析,ANCA価を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の進捗状況は,研究の目的および研究計画に記載通りにほぼ順調に遂行した. 研究の目的として,1)ヒト型MPAを再現できる誘発型MPAモデルの開発し,2)好中球欠失マウスやNOX活性抑制マウスにMPAを誘発し好中球が関与する血管炎であることを確認し,このMPAモデルを確立する.3)好中球特異的MTMRs 遺伝子欠損マウス(7遺伝型)にこの方法でMPAを誘発し,どの遺伝子欠損マウスがMPA発症に関与するか明らかにする.4)このMTMRs遺伝子欠損マウス由来の好中球や好中球細胞株を用いて詳細な細胞生物学的解析を行い,NOX活性,NOX構成分子の局在,NETs形成にMTMRs遺伝子欠損およびイノシトールリン脂質の変化がどのように影響するかを解析する.5)NOX活性とNETs形成とをつなぐ機構にMTMRs分子群がいかに関与しているかを明らかにする.6)MPA症例のヒト好中球でのMTMRs分子群の遺伝子発現を解析し,MPA発症との関係を検討する. 第1項目から第3項目までが平成26年度に行う計画であり,上述のように遂行し,有意義な知見を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として,好中球特異的MTMRs 遺伝子欠損マウスのうち,MPAの重症度が高い遺伝型を選び,このMTMRs遺伝子欠損マウス由来の好中球で詳細な細胞生物学的解析を行い,イノシトールリン脂質の変化,NOX活性,NOX構成分子の局在,NETs形成を解析する.適宜,好中球細胞株を用いる.NOX活性とNETs形成とをつなぐ機構にMTMRs分子群がいかに関与しているかを明らかにする.MPA症例のヒト好中球でのMTMRs分子群の遺伝子発現を解析し,MPA発症との関係を検討する. MPA症例のヒト好中球でのMTMRs分子群の遺伝子発現に関しては,医療機関や臨床系講座との連携を進めている.
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