2014 Fiscal Year Research-status Report
全身性自己免疫疾患に対する新規B細胞標的療法の開発
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26461466
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
小荒田 秀一 佐賀大学, 医学部, 講師 (50304887)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 / B細胞 / 治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデス(SLE)などの全身性自己免疫疾患は、難治性病態が存在し新たな治療法が必要である。SLEでは自己抗体とその産生細胞は主要な免疫異常であり、自己抗体産生細胞を標的とした治療は、最も理想的な治療法と考えられる。しかし、自己抗体産生細胞に特異的な細胞表面分子は、現時点では存在しない。我々は、SLEでRP105陰性B細胞が抗dsDNA抗体などの自己抗体を産生し、SLE特異的なフェノタイプを有するplasmablast(形質芽細胞)であることを証明した。本研究ではSLE患者由来の自己抗体産生B細胞に発現する特異的抗原を標的とした治療法の開発を試みる。自己抗体産生B細胞、とくにplasmablastを標的とする治療法の開発は世界初の試みで、膠原病の難治性病態に対して、新たな治療法の開発につながる可能性がある。 平成26 年度は、ヒト全身性自己免疫疾患におけるRP105 陰性plasmablast/B 細胞に特異的な新分子の同定を行った。自己抗体産生細胞に特異的に発現する分子を同定するために、SLE 由来のRP105 陰性B細胞 にのみ発現する分子をGeneChip にて解析を行った。解析細胞はSLE 患者と正常者の末梢血よりセルソーターを用いて、CD19 ( low ) CD138(-)RP105(-) の活性化B 細胞を単離し、RP105(+)B細胞との比較を行った。そして、2つの細胞集団間間のGeneChip 解析を行い、SLE のRP105 陰性plasmablast/B細胞 にのみ発現する分子の同定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己抗体産生細胞に特異的に発現する分子を同定するための計画の大半を達成しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
SLEモデルマウスである(NZB×NZW)F1(BWF1)マウスを用いて実験動物における確認を行う。モデルマウスを用いた検討は、ヒトへの応用を図る上で、重要なステップとなる。最近、BWF1マウスの末梢血には、RP105陰性B細胞が存在し自己抗体を産生することが他の研究者により報告がなされている。したがって、同マウス由来のplasmablast上における新規分子の発現と病態の関連を検討する。次に新分子に対する抗体投与をin vivoで行いRP105陰性plasmablastの消失と病態の改善があるかを検討する。また、正常マウスにおける抗体投与の影響についても検討する。 自己抗体産生細胞特異的新分子のヒトSLEでの臨床的検討を行い治療への可能性を探索する。まず、SLEをはじめとした自己免疫疾患患者において、疾患活動期および非活動期に分けて、RP105陰性plasmablast特異的分子の発現をフローサイトメトリーにて解析する。分子発現と疾患活動性との相関を検討する。また、治療前後で、特異的分子の発現の経時的変動を検討する。RP105陰性の活性化B細胞、plasmablast、形質細胞をセルソーターで分離してin vitroにて培養し自己抗体産生をどの細胞が行っているかを確認する。上記成果を踏まえて、抗体製剤としてヒトへの臨床応用の意義があるのかを最終検討する。
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Research Products
(14 results)