2014 Fiscal Year Research-status Report
濾胞性ヘルパーT細胞の多様性と自己免疫病態への関与: SLE新規治療戦略の創出
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26461496
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中山田 真吾 産業医科大学, 医学部, 講師 (60389426)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 濾胞性ヘルパーT細胞 / インターフェロン / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、全身性エリテマトーデス (SLE)の病態形成における濾胞性ヘルパーT (Tfh)細胞の病原的役割を明らかとし、Tfh細胞への分化偏向を誘導するエピゲノム機構の解析とその誘導因子を標的とした新たな免疫寛解導入療法への基盤構築を目的としている。 本年度は、Tfh細胞の分化・活性化の機序に関与するシグナルの解明、およびSLEにおける病的意義の検証を試みた。具体的には、健常人からCD4陽性T細胞を抽出して、試験管内で分化培養させてTfh細胞への分化能を解析した。また、健常人およびSLE患者末梢血のCD4陽性T細胞のフェノタイプを8カラーフローサイトメトリーで検出した。その際、ヘルパーT細胞サブセットの異常、特にエフェクター様の形質をもったTfh細胞の分布と患者背景、疾患活動性、治療効果などの臨床病態との相関を解析した。 その結果、ヒト末梢血から抽出したナイーブT細胞は、IFN-γの刺激によって、CXCR5+ CXCR3+ Bcl6+ T-bet+のTfh/Th1細胞様の表現型が誘導された。さらに、SLE患者では健常人と比較して、effector T細胞およびeffector memory T細胞、活性化したTfhおよびTh1細胞の割合が増加し、両者の形質を有するTfh/Th1(CD4+ CXCR5+ CXCR3+)細胞が認められ、血清中の抗Sm抗体価と相関していた。 以上より、ヒトT細胞分化においてIFN-γを介したシグナルが、Th1細胞との可塑性を有するTfh細胞を誘導することが明らかとなった。さらに、SLE患者においても可塑性を有するTfh/Th1細胞が存在しており、Tfh細胞の活性化が自己抗体を介する病態形成に関与する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
頭書の計画の通りに実験、解析、データ回収が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度同定したエフェクター様Tfh/Th1細胞様細胞への分化偏向を齎す細胞内シグナル及び主要転写因子の同定、および、主要転写因子の遺伝子発現領域におけるヒストン修飾評価によりエピゲノム機構を解析する。
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