2014 Fiscal Year Research-status Report
カルバペネム系抗菌薬全般に低感受性であるインフルエンザ菌の低感受性機構の解析
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26461501
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 幸司 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50425675)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インフルエンザ桿菌 / ベータラクタム系薬 / カルバペネム系薬 / 耐性 / 低感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)は、発育因子としてX因子(ヘミン)とV因子(NAD)を必要とするグラム陰性桿菌である。インフルエンザ菌のうち、莢膜型b型は、小児の敗血症、髄膜炎の起因菌として、重要な位置を占めてきたが、近年のHibワクチンの導入により劇的に減少している。一方、非莢膜型は、小児の中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎、髄膜炎等の起因菌として依然、重要な位置を占め、我が国の小児中耳炎の起因菌のうち24.2%がインフルエンザ菌であるとの報告もある。インフルエンザ菌感染症の治療には、アンピシリンなどのベータラクタム系薬が第一選択薬であるが、近年、ベータラクタム系薬の標的分子の一つであるPenicillin-binding protein (PBP)3に変異を獲得したBLNAR (beta-lactamase negative ampicillin resistant)や一部のベータラクタム系薬を分解するTEM-1, ROB-1型のベータラクタマーゼを産生するBLPAR (beta-lactamase positive ampicillin resistant)の分離が増加してきており、臨床的に問題となってきている。ほぼ全てのBLNARもBLPARもベータラクタム系薬のうちカルバペネム系抗菌薬には良好な感受性を示してきた。しかしながら、我々はカルバペネム系抗菌薬全般に低感受性である臨床分離インフルエンザ菌を既に入手し、予備的実験からこの株はPBP3にアミノ酸挿入変異を有することを既に明らかにした。本年度は、PBP3にアミノ酸挿入変異を有することを再確認し、このPBP3のアミノ酸挿入変異がカルバペネム系抗菌薬低感受性に寄与していることを証明するための実験系の立ち上げを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に必要となるインフルエンザ桿菌に関する研究技術の導入が、予想よりも困難を伴い、計画が若干遅れている。しかしながら、これまでの試行錯誤を通して、インフルエンザ桿菌に関する研究技術の導入に明るい兆しが認められ、次年度以降は、この若干の遅れを取り戻せる可能性が高いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画で本年度予定していたが実施できなっかたものと次年度の研究計画を合わせて、次年度は行う予定にしている。インフルエンザ桿菌に関する研究技術の導入の目処が立ってきたので、次年度以降は、若干の遅れを取り戻し、当初の実験計画の通り、実施できるものと考えられる。
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