2014 Fiscal Year Research-status Report
肺アスペルギルス症におけるグレリンの有用性と作用機序の解析
Project/Area Number |
26461509
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
今村 圭文 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90467960)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 侵襲性肺アスペルギルス症 / グレリン |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫不全患者に発症する侵襲性肺アスペルギルス症、そして肺に基礎疾患を有する患者に発症する慢性肺アスペルギルス症はともに治療抵抗性で予後不良な疾患である。グレリンは食欲を増進させるホルモンであるが、近年敗血症や急性肺障害マウスモデルに併用することにより生存率を改善させることが報告されている。グレリンの真菌症に対する効果については未だ報告はなく、今回我々は侵襲性肺アスペルギルス症に対するグレリンの治療効果について検討を行った。 免疫抑制状態としたマウスにアスペルギルスを感染させ、侵襲性肺アスペルギルス症を発症したマウスにグレリン(100μg/kg)を1日2回腹腔内に投与し、生存率と体重変化について検討を行った。グレリン投与群と非投与群では生存率、体重変化については有意差を認めず、侵襲性肺アスペルギルス症に対する治療効果を認めなかった。 感染予防薬としてのグレリンの効果を検討するために、免疫抑制状態としたマウスにグレリン(100μg/kg)を1日2回腹腔内に予防的に投与し、その後にアスペルギルスを経気道的に感染させて侵襲性肺アスペルギルス症モデルを作成した。グレリンを投与することにより、対照群と比較して生存率の改善および体重減少の抑制効果を認めた。また、イトラコナゾールと併用することにより、イトラコナゾール単独投与群と比較して生存率の上乗せ効果を認めた。 グレリンには抗真菌効果はなく、薬剤耐性を誘導する可能性はないため予防投与薬に適している。ハイリスク症例に予防投与を行うことで生存率の改善に寄与する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は侵襲性肺アスペルギルス症マウスモデルの作成と、グレリン投与による治療効果、予防効果を検討した。 予定通りに研究を遂行することができ、グレリンをとぼう的に投与することで、生存率の改善、および体重減少の抑制効果を確認できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はマウスモデルにおいて生存率の改善に寄与した因子について検討を行う予定である。具体的には肺内菌量および肺内炎症の評価を行う。 肺内菌量の評価では肺内生菌数および肺組織および血清ガラクトマンナン抗原の測定を、肺内炎症の評価では病理学的所見、気管支肺胞洗浄液の総細胞数と血球分画、肺組織内のサイトカインの測定を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
マウス、グレリンの使用量が予定より少なかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の研究結果の再現性を確認するために、マウス、グレリン、試薬等の使用量が多くなると思われ、繰越分の資金をその購入にあてる。
|
Research Products
(1 results)