2015 Fiscal Year Research-status Report
肺アスペルギルス症におけるグレリンの有用性と作用機序の解析
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26461509
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
今村 圭文 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (90467960)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺アスペルギルス症 / グレリン |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫不全患者に発症する侵襲性肺アスペルギルス症、そして肺に基礎疾患を有する患者に発症する慢性肺アスペルギルス症はともに治療抵抗性で予後不良な疾患である。新規抗真菌薬の開発が滞っている現状において、抗真菌効果によらない新たなアスペルギルス症の予防法、治療法の開発は急務であると考えられる。 慢性肺アスペルギルス症では栄養状態が予後と関連しているという報告があり食欲を増進させるホルモンであるグレリンの効果に着目した。グレリンは免疫調整作用を有し、敗血症や急性肺障害マウスモデルに併用することで生存率が改善すると報告されている。食欲増進作用や免疫調整作用がアスペルギルス症に対して有用であると考え、我々は既にマウスモデルが確立している侵襲性肺アスペルギルス症に対するグレリンの治療効果について検討を行った。 免疫抑制状態としたマウスにアスペルギルスを感染させ、侵襲性肺アスペルギルス症を発症したマウスにグレリン(100μg/kg)を1日2回腹腔内に投与し、生存率と体重変化について検討を行った。グレリン投与群と非投与群では生存率、体重変化については有意差を認めず、侵襲性肺アスペルギルス症に対する治療効果を認めなかった。 次に感染予防薬としてのグレリンの効果を検討するために、免疫抑制状態としたマウスにグレリン(100μg/kg)を1日2回腹腔内に予防的に投与し、その後にアスペルギルスを経気道的に感染させた。グレリンを投与することにより、対照群と比較して生存率の改善および体重減少の抑制効果を認めた。また、イトラコナゾールと併用することにより、イトラコナゾール単独投与群と比較して生存率の上乗せ効果を認めた。 グレリンには抗真菌効果はなく、薬剤耐性を誘導する可能性はないため予防投与薬に適している。ハイリスク症例に予防投与を行うことで生存率の改善に寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
侵襲性肺アスペルギルス症マウスモデルにおけるグレリンの治療効果については、生存率および体重減少の抑制効果で再現性を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はマウスモデルにおいて生存率の改善に寄与した因子について検討を行う予定である。具体的には肺内菌量および肺内炎症の評価を行う。また、in vitroにおいても気道上皮細胞や免疫担当細胞(マクロファージ、好中球)に対するグレリンの効果を検討する。 肺内菌量の評価では肺内生菌数および肺組織および血清ガラクトマンナン抗原の測定を、肺内炎症の評価では病理学的所見、気管支肺胞洗浄液の総細胞数と血球分画、肺組織内のサイトカインの測定を行う予定である。in vitroにおいてはサイトカイン産生、貪食能、活性酸素種産生能などの点で評価する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた血清ガラクトマンナン抗原の測定や、肺組織内サイトカイン測定が実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の研究を推進するために、マウスモデルにおいてはガラクトマンナン抗原測定や各種サイトカイン測定キットの購入を予定している。 in vitroにおいては気道上皮細胞H292やマクロファージTHP-1細胞と、サイトカイン発現に関してはELISAキットを、mRNAレベルではRT-PCRキットを購入予定である。活性酸素種産生能の評価ではNBT assayを用いる予定である。
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