2014 Fiscal Year Research-status Report
人工ヒト型抗ノロウイルス抗体を利用した、感染防御・治療法の開発
Project/Area Number |
26461516
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
守口 匡子 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (60298528)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗ノロウイルス抗体 / ヒト型抗体 / ファージ抗体 / 交差反応性 / ノロウイルスワクチン / 組織-血液型抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バキュロウイルス発現系を用いて作成したヒトノロウイルス(HuNoV)の人工ウイルス様空粒子(VLP)を抗原に用い、ヒト型ファージ抗体ライブラリーから多数の抗HuNoV抗体を単離し、受動免疫による予防・治療や、簡便なウイルス検出キットを開発すること、さらには、それら抗体が認識するウイルス構造タンパク質上のエピトープを同定し、HuNoVワクチン設計を試みることを目的としている。 申請者は、平成26年度までに、Narita 104株(GII.4)、あるいは、Chiba407株(GI.4)のVLP(それぞれr104、あるいは、rCV)を抗原に用い、3つのヒト型ファージ抗体ライブラリーのスクリーニングを行って、計67クローン・46タイプの抗HuNoV抗体を単離した。そして、それらのうちの4クローン、12A11、12B10、CV-1A5、CV-2F5が、それぞれGII内交差反応性、GII内交差反応性、GI-GII間交差反応性、GI内交差反応性抗体であり、残り63クローンは、抗原に用いたVLPのタイプ(GII.4あるいはGI.4)特異的抗体であることを明らかにした。さらに、上記4つの交差反応性抗体に加え、GII.4特異的な12A2とGI.4特異的なCV-1A1に、HuNoVのレセプター候補分子である組織-血液型抗原へのVLP吸着阻害活性があることも明らかにした。本年度は、交差反応性である上記4抗体に関し、ファージ抗体と同じタイプの(同じエピトープを認識する)抗体が、実際にヒト生体内で誘導されているかを、抗r104抗体価が高い49名、あるいは、抗rCV抗体価の高い17名のヒト血清を用いて調べた。その結果、12A11、および、12B10と同じタイプの抗体が、それぞれ1(2.1%)、7(14.9%)の血清に、CV-1A5、および、CV-2F5と同じタイプの抗体が、それぞれ1(6.7%)、14(93.3%)の血清に、誘導されていることが判明し、これら4タイプの抗体が、HuNoVの感染防御や感染症治癒に役立っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の研究計画では、①交差反応性ヒト型抗HuNoVファージ抗体と同じエピトープを認識する抗体は、ヒト生体内でも誘導されているか?(感染防御や感染症治癒への寄与の可能性はあるか?)と、②交差反応性中和エピトープの同定、の2点の解明を目指している。①に関しては、結果を得ることができたが、②は、構造タンパク質をサブドメイン毎に分割し、抗原候補タンパク質として発現させる必要がある。その抗原発現系のプラスミド構築並びに発現確認、そしてELISAの系の確立に手間取り、未だ結果を得ることができていないため、「(3)やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記②の目的に関して、抗原候補タンパク質発現系のプラスミド構築はほぼ完了している。今後は、各プラスミドを大腸菌に順次導入し、目的タンパク質の発現確認と、エピトープ同定の為のELISAの系の確立を目指し、目的達成を試みる。大腸菌の系でうまくいかない場合は、VLP作成に用いているバキュロウイルス発現系を用いた抗原候補タンパク質の発現系も利用する、との問題解決法も考慮している。
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Causes of Carryover |
「現在までの達成度」の欄で述べたとおり、平成26年度研究計画の②に遅れをきたしている。従って、このために計上した予算に未使用分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度に上記②の計画を遂行するため、繰り越した537,970円を用いる。
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