2015 Fiscal Year Research-status Report
幼若期ストレスが惹起する脳サイトカインネットワークの構築異常の解明
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26461521
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
平澤 孝枝 帝京大学, 理工学部, 講師 (10402083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 竜介 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (10360603) [Withdrawn]
葛西 宏威 山梨大学, 総合研究部, 助教 (20324189)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミクログリア / 脳機能 / 母子分離ストレス / 免疫制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼若期ストレスとして本研究では母子分離を用いた。生後1日齢より1週間、1時間の母親との分離を行い、実験終了後は通常飼育に戻した。生後7日齢、14日齢、21日齢と仔マウスの脳、脾臓、骨髄などのマクロファージ、免疫細胞等をサンプリングした。その結果、ストレス負荷を与えたマウス脳でのミクログリアの数、形態が変化していた。特に生後7日齢では幼若型のミクログリア(アメボイド型)であるが、コントロール群でがその性質が体内マクロファージの性質を持つF4/80陽性であるのに対して、ストレス群は陰性であった。これらの違いから浸潤してくる由来や性質が違う可能性が示唆された。次に、体内の免疫制御機構を調べるために血清中のIgG,IgA,IgM,IgEを測定したところ、IgG,IgMにおいてストレス群が有意に高値であった。そこで、各免疫組織におけるマクロファージ、T細胞、B細胞の分化をFACSにて分離・同定を行った。しかしながら、骨髄、脾臓、胸腺における分化パターンに違いはなかった。一方で骨髄の細胞数の増加がストレス群には見られた。さらに、もう一つの幼若期の免疫細胞の産生組織である肝臓ではストレス群の分化細胞に違いが見られ、幼若型血球細胞が低下していることが示された。この事から、ストレス群の脳内では本来骨髄、肝臓から産生されるミクログリアが骨髄のみで産生され、さらに産生能が亢進しているために脳に浸潤するミクログリアも多いということが示唆された。そこで数だけではなく感受性も違う可能性を見るために、脾臓より作製したT細胞のCD3刺激によるサイトカインの放出量をELASA法で測定した。その結果、ストレス群の脾臓より作製された細胞のIFN-γの放出量が有意に高値であった。この事から数だけではなく刺激に対する感受性も高くなっており、その結果が血清中のイムノグロブリン(Ig)に見られたのだと結論づけることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績よりストレス負荷によって体内免疫細胞の分化のスピードや細胞の刺激に対する感受性、またミクログリア細胞の特性の違いが示唆される結果を得ることができ、当初の研究計画が順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
FACS法によって骨髄のマクロファージ、血球細胞の特性とミクログリアの特性の違いを調べる。脳は結合組織が高いので簡単に分離することが困難であるので酵素処理などを検討する。またミクログリアを単離培養し、ストレス負荷を培養系で行う実験系を組んでミクログリアが放出するサイトカイン量をコントロール群とストレス負荷群で測定し、体内の免疫細胞とミクログリアの感受性の違いがあるのかどうか検討をする。
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Causes of Carryover |
予定金額より物品費が安く購入できたため239円残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
239円分は平成28年度分に繰り越し消耗品の購入に充当する。
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