2014 Fiscal Year Research-status Report
GNAS関連インプリンティング疾患の包括的分子遺伝学的解析と疾患発症機序の解明
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26461537
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
佐野 伸一朗 独立行政法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 研究員 (60535574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鏡 雅代 独立行政法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 室長 (70399484)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 偽性副甲状腺機能低下症 / GNAS遺伝子変異 / GNAS-DMRメチル化異常 / AHO徴候 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで国内の医療施設から臨床的に偽性副甲状腺機能低下症(PHP)と診断された50症例の血液サンプルと詳細な臨床情報を集めることができた。H26年度はこの50症例に対し分子遺伝学的解析を実施し遺伝学的診断を確定していく作業を中心におこなった。その内訳は、GNAS遺伝子変異:22例、Sporadic PHP-Ib(全GNAS-DMRsメチル化異常:12例、Autosomal dominant-PHP-Ib(AD-PHP-Ib)(STX16微小欠失+exonA/B メチル化異常):12例、同定不可能:4例である。 臨床的にPHP-Iaと診断されていた症例のうち4例にGNAS-DMRsメチル化異常を同定した。このことは既報と同様に、本邦においても従来の臨床診断と分子遺伝学的診断が一致しない症例が存在することを明らかにした点で重要である。 教科書的にPHP-Iaでは、AHO徴候(低身長、肥満、短指症、丸顔、皮下骨種、知的障害)を有し、PHP-IbではAHO徴候を有さないとされている。我々の解析では患者一人が有するAHO徴候の数がPHP-Iaで4つ(中央値)、PHP-Ibで1-2個(中央値)で統計的に有意な差があることが確認できた。これは新たな知見の一つである。 これまでの報告では、PHP-IaではPTH抵抗性に加えてTSH抵抗性、LF/FSH抵抗性、GHRH抵抗性を有することがあり、PHP-IbではTSH抵抗性が報告されている。我々は、臨床的に成長ホルモン分泌不全性低身長(GHD)と診断されている一卵性双生児の双子PHP症例において、分子遺伝学的にAD-PHP-Ibを同定した。AD-PHP-IbでGHDを合併した症例はこれまで報告がなく、世界で最初に確認された症例として報告を行った(Sano S, et al, Endocrine Jouranl, 2015. in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の達成度は順調であると考える。理由は以下に述べる。 1)2年間でPHP50症例を目標に症例を集積する計画であったが、H26年度で目標症例に達した。H27年度も症例が増えると予想され国内で最大の症例数となると思われる。 2)患者サンプルと同時に詳細な臨床情報も提供いただいており、(epi)genotype-phenotype correlationの解析も順調に進めることができている。 3)貴重な症例(GHD+AD-PHP-Ib)を同定し論文化することができた。 上記よりほぼ計画に遅れはない。 一方、PPHP/POH症例は3例のみであり更なる症例の集積が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度も症例集積を継続するともに分子遺伝学的解析を行っていく。またサンプルとともに提供していただいた臨床情報の解析を進めていき、まずは国内の主要な学会で発表していき論文化を図っていく予定である。 更に本年度は当初の計画どうり、Multiple methylation defects(MMD)症例を同定するためpyrosequencingを行い、GNAS以外の領域でメチル化異常を認めた症例に対してはIllumina 社Human Methylation 450 Bead Chip を用いて網羅的メチル化解析を行っていく。 症例数は当初の目標を超えると考えらえるが解析手法は確立できており、効率的に解析できているため計画の遂行には問題ないと考えている。
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Research Products
(2 results)