2015 Fiscal Year Research-status Report
GNAS関連インプリンティング疾患の包括的分子遺伝学的解析と疾患発症機序の解明
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26461537
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
佐野 伸一朗 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 研究員 (60535574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鏡 雅代 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (70399484)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 偽性副甲状腺機能低下症 / インプリンティング / GNAS遺伝子変異 / GNAS-DMRメチル化異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度末までに70症例以上の偽性副甲状腺機能低下症 (PHP) 患者の血液サンプルおよび臨床情報を集積することができた。H26年度に引き続き、H27年度も上記症例の遺伝学的解析を進めた結果、現在までに総計62症例の遺伝学的解析が終了した。その内訳はGNAS変異28症例、sporadic type 19症例、Autosomal dominant type 15症例である。 臨床的にPHP-Iaと診断された37症例においてGNAS変異が28症例、Sporadic typeが9症例いた。このことは既報と同様に我々の研究においても、AHO徴候を有するPHPの中にGNAS領域のメチル化異常を原因とする症例が存在し、その割合は24%であった。 解析した症例の中に、過成長、巨舌、新生児低血糖といったBechwithe-Wiedemann syndrome(BWS)の臨床像を併せ持つ症例が存在した。この症例ではAHOのないPTH抵抗性が確認されており、更に遺伝学的にはGNAS領域の広範囲なメチル化異常を呈するSporadic type PHP-Ibであった。BWS疾患責任領域である11p15のメチル化解析を実施したところ、BWSの約50%に認められるメチル化異常(ICR2の低メチル化)を確認した。本例は、PHP-IbとBWSの臨床像を併せ持つ、かつ両疾患の遺伝学的異常(GNASメチル化異常、ICR2メチル化異常)が証明できた世界で2例目の症例である。本例に対しては、更に全染色体に渡るメチル化異常の有無を探索し、20番染色体、11番染色体以外の染色体においてメチル化異常が確認できた。 上記の結果を報告した (Sano. S, et al, Journal of Human Genetics, 2016, in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の達成度は順調であると考える。理由は以下に述べる。 1)2年間での目標症例数である50症例を超える症例が詳細な臨床像とともに集めることができた。また学会発表、論文により、多くの施設より新たに症例を紹介していいただいており、症例数は増加傾向にあり現在のところ国内で最大の集積数となることが予想される。 2)詳細な臨床像より Genotype/epigenotype-correlationの解析も順調に進んでおり当たらな知見を見出すことができそうである。 3)これまで報告にない特異な臨床像を呈した症例も集まってきており、これらの解析により本疾患の新たな知見が見いだせる可能性がある。 4)PHP-IbとBWSの臨床像を併せ持つ貴重な症例の詳細な分子遺伝学的解析を行い、論文化できた。 上記より、研究計画は順調で遅れはない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を上回るペースで症例が集積しており、臨床情報も合わせて集積できたため、本疾患におけるGenotype/epigenotype-correlationの解析に関する論文化を行っていける段階にあり早期の発表を目指す。 GNAS以外の領域でメチル化異常を認めるようなMultilocus imprinting defects症例が数例見つかっており、今後Illumina社のHuman methylation 450 bead chip等を用いてgenome-wideなメチル化異常の探索に進んでいく。 メチル化異常を伴うPHP発症メカニズムの解明は未達であり、家族例の解析や孤発症例の包括的解析を進めていくことにより解明の手掛かりを見つけていきたい。
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Causes of Carryover |
以下の理由により次年度使用額が生じました。 1)解析サンプルが効率よく集積できたため、遺伝子解析も効率的実施することができ解析費用を減額することができた。2)Genomewideなメチル解析やアレイ解析にまでいたるサンプル数が当初より少なかったため解析費用を減額できた。3)国際学会への出席を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
以下の計画に使用する計画です。 1)解析サンプル数が当初計画を既に宇和待っており、これらの解析費用として用いる。2)Genomewideなメチル解析やアレイ解析を積極的に行っていく。3)国際学会での発表、論文化費用として使用する。
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Research Products
(2 results)