2015 Fiscal Year Research-status Report
モワット-ウィルソン症候群原因遺伝子SIP1の脳の高次機能におけるその機能解析
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26461539
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
東 雄二郎 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 部長 (30181069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 ふみ子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 研究助手 (10393133) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モワット-ウィルソン症候群 / SIP1遺伝子 / de novo変異 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
シンドローム型の重度知的障害であるMowat-Wilson syndromeはSIP1遺伝子のde novo変異が原因となり引き起こされる。このモデルマウスであるSip1ヘテロ変異マウスは純系のC57BL/6系統の遺伝背景では系統維持することが難しかった。そこで我々は、系統維持を必要としないde novo変異型のSip1ヘテロ変異マウスを作製する系を構築し、その結果として安定的にこのマウスを得ることができるようになった。本年度はこのSip1 de novoヘテロ変異マウスにおいて、Mowat-Wilson syndromeで見られる重度知的障害と関連する症状観察されるかどうか調べるために、行動解析等を行った。その結果、Sip1 de nvoヘテロ変異マウスは、open field試験において自発行動量の低下を、高架式十字迷路試験では不安様行動を、3チャンバー試験では社会性行動の低下を示すことを明らかにした。しかし、重度知的障害との関連を想定した学習記憶を調べる実験では、少なくとも恐怖条件付け用いたシャトルアボイダンス試験において異常は観察されなかった。一方、空間認知に対する学習記憶を調べるバーンズ迷路実験において、このマウスは、実験を繰り返すことにより顕著な不動反応を示すことが見出され、本変異マウスにおける情動の変化が学習記憶能力に影響を及ぼす可能性が考えられた。尚、本結果は遺伝学分野の雑誌であるHum. Mol. Genet.において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は研究実績の概要に述べた計画の他に、Nestin-creERT2、CamKII-ERT2マウスを用いたコンディショナルノックアウトを行う予定であったが、タモキシフェンの投与量等の条件検討等に時間がかかり、実際のコンディショナルノックアウトを得るまでに至らなかった。これに関しては、28年度に結果を得られる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
① Sip1 de nvoヘテロ変異マウスにおいて観察された行動異常が、脳のどの部位あるいはどの種の神経細胞によるものかを、種々のcreマウスを用いることで、明らかにする。 ② SIP1と同じファミリーに属するδEF1遺伝子のfloxマウスの作製を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じているが、残額3,988円であり、前倒し額も含めてほぼ使用している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由により、計画を書くにはあたらない。
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Research Products
(3 results)