2016 Fiscal Year Research-status Report
患者iPS細胞を用いたドラベ症候群の病態解明・細胞移植治療を目指した研究
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26461552
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
日暮 憲道 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40568820)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | てんかん / iPS細胞 / 病態 / 細胞治療 / 遺伝子 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は患者iPS細胞、疾患モデルラットを利用し、ドラベ症候群の病態解明と細胞治療の実現化を目指すものである。移植に用いるために質の高いγアミノ酪酸(GABA)作動性神経の前駆細胞をiPS細胞から誘導する方法について、昨年に引き続き検討した。現在、Dual SMAD抑制法からSonic hedgehogなどのシグナル分子を添加し誘導する方法に、さらに微調整を追加することにより比較的安定してGABA作働性神経細胞は得られるようになったが、実際に移植に用いるためには、さらに高密度にGABA前駆細胞を得なくてはならず、そのために種々のレポーターウイルスを作成し、現在は最終調整を行なっている。レポーターウイルスは、GABA前駆細胞を同定するため、内側基底核原基の転写因子enhancer下に蛍光タンパクを発現するものであるが、それ以外にin vitroでの神経細胞機能解析目的のため、成熟細胞を蛍光標識するウイルスも複数作成し解析を進めている。一方、当施設保有の高解像度小動物MRIを用いて、ドラべ症候群モデルラットのてんかん発生に関わる脳領域・神経回路を、三次元レベルで同定するための研究を開始した。これは新たな視点での病態解明が期待されるのみならず、細胞移植部位の検討、移植後の神経興奮性評価、さらには他の治療においても効果判定の一つとして有用性が期待されるためである。2から5週齢ラットをターゲットに撮像条件や解析方法の検討を行ない、ほぼ実験デザインを決定することができた。また、すでにコントロールと比較し、疾患ラット脳における興奮性の亢進を同定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高品質な研究を行うため、新たな研究計画として小動物MRIを用いた解析を開始したことが要因である。また、神経細胞の分化誘導方法の改良、目的細胞同定・収集のためのレポーターウイルスの準備など、複数の追加実験を行ったことも原因であるが、これらは概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
高濃度GABA前駆細胞の抽出について、培養条件の最終調整とともに、レポーターウイルスによって内側基底核原基特性をもつNeurosphereの選別を行う。このNeurosphereについて生化学・免疫組織学的に確認を行い、さらに実際に成熟神経細胞へ分化させ、GABA作働性神経細胞の出現状況を確認し、病態研究にも発展させる予定である。一方、小動物MRIについては、撮像・解析条件とともに、実験手法はほぼ確立できているため、今後は4週齢、2週齢、さらに可能であれば8週齢についてもデータ収集を進め、脳の発達に伴う興奮性領域の変化を明らかにするとともに、そのような領域についての生化学的・免疫組織学的特徴についての解析を行い、ドラべ症候群のてんかん発生の分子・細胞基盤を明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅延と、新たに追加した研究計画に関して、他の研究費を一部用いることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬、抗体、培養物品、動物飼育費用、解析費用、その他消耗品と、一部、会議費・旅費に充当する予定である。
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Research Products
(4 results)