2014 Fiscal Year Research-status Report
脊髄性筋萎縮症原因遺伝子産物によるmRNA前駆体制御機構の解析
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26461555
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
荒川 正行 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 基盤生物研究部, 上級研究員 (90398868)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脊髄性筋萎縮症 / スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄性筋萎縮症(SMA)の原因遺伝子は第5番染色体に位置しているsurvival of motor neuron 1(SMN1)であり、この遺伝子の変異・欠失がその病態と関連することが報告されている。一方、同染色体上の同じ遺伝子産物を翻訳するSMN2遺伝子が存在し、この塩基配列はSMN1とエキソン・イントロンを含み5つの塩基の違いのみである。SMA患者では、SMN2mRNA前駆体がスプライシング機構により、50-90%の割合でエキソン7のエキソンスキッピングを生じ、生産されたmRNAやその翻訳産物は不安定で機能しないことが報告されている。そのスプライシングパターンによるSMN蛋白質の発現がSMA患者の病態にどのような影響を及ぼすのかは明らかにされていない。本研究年度において、正常ヒト皮膚線維芽細胞、Type I SMA患者由来皮膚繊維芽細胞、HeLa細胞、胚性腫瘍由来細胞NTERA-2,神経芽細胞腫SK-N-SH細胞におけるSMN2 mRNA前駆体のスプライシングのパターンをRT-PCR法及びSMN2 エキソン8の特異配列を切断する制限酵素(DdeI)処理法を用いて分析した。その結果、正常ヒト皮膚線維芽細胞、HeLa細胞では、SMN1 mRNAの発現が高く、SMN2の発現レベルは低く、エキソン7のスキッピングはほとんど見られないことが明らかとなった。さらに、Type I SMA患者由来皮膚細胞の2つの株を用いて検討した結果、SMN2の発現レベルとスプライシングパターンが異なることを見出した。 現在、スプライシングアッセイ法を構築中であり、SMN発現ポリオウイルスベクターを用いて継時的にSMN蛋白質を発現させ、独自に開発したSMN蛋白質測定法(特許出願中)を駆使して、SMN蛋白質がSMN2 mRNAの発現とスプライシングパターン変化への影響を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種細胞のSMN1/2のスプライシングパターンが順調に解析でき、現在その定量解析を進めている。さらに、新規SMN蛋白質測定法の開発も進行中でより詳細にSMN蛋白質の発現レベルを解析できるようになった。スプライシングアッセイ系の構築がやや遅れているが、他のアッセイ法も検討しているのでおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、SMN2スプライシングパターンを解析するスプライシングアッセイ法を構築し、外来からの遺伝子導入や薬剤による継時的なSMN蛋白質を発現させ、独自に開発したSMN蛋白質測定法(特許出願中)を駆使して、SMN蛋白質がSMN2 mRNAの発現とスプライシングパターン変化への影響を調べる予定である。さらに、SMN2mRNA前駆体のスプライシング制御に関わる分子の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
脊髄性筋萎縮症患者由来細胞を連携研究者(斎藤加代子教授、東京女子医科大学)より、複数株分与していただいており、今年度使用できなかった残りの細胞の培養準備を進めるためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、対象としている細胞を培養、維持するために全額使用する予定である。
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