2015 Fiscal Year Research-status Report
脊髄性筋萎縮症原因遺伝子産物によるmRNA前駆体制御機構の解析
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26461555
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
荒川 正行 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 第3生物活性研究部, 研究員 (90398868)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脊髄性筋萎縮症 / スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、外来からのSMN蛋白質発現によるSMN2 exon7 スプライシング制御メカニズムを解析するために、ベクターによる導入後の正常ヒト由来線維芽細胞及び脊髄性筋萎縮症患者由来線維芽細胞(2株)を用いて解析を行っている。外来から導入されたSMN蛋白質をウエスタンブロット法で確認し、経時的にトータルRNAを回収し、スプライシングアッセイ法としてRT-PCR法を確立し、内在のSMN2 mRNAのスプライシングを評価した。その結果、正常ヒト由来線維芽細胞では、SMN1/2 mRNAのスプライシングには影響が見られなかった。一方、脊髄性筋萎縮症由来細胞では、導入8hで内在全長のSMN2の発現増加傾向が見られたが、現在詳細に調べている。さらに、導入されたSMN蛋白質はGFPとの融合蛋白質であるので、蛍光顕微鏡下で可視化できる。発現したSMN-GFPはSMN蛋白質複合体(gem構造)またはCajal小体様の形態が観察されたため、HeLa細胞、正常ヒト線維芽細胞、脊髄性筋萎縮症由来線維芽細胞の内在のgem形成能を抗SMN抗体、抗gemin3抗体を用いた免疫組織染色法で調べたところ、SMN蛋白質の高い発現であるHeLa細胞、正常ヒト線維芽細胞ではgem構造であることがわかり、脊髄性筋萎縮症由来線維芽細胞では内在のSMN蛋白質の量に依存することが明らかとなった。そこで、HeLa細胞を用いて、gem構造またはCajal小体を変化させる因子や低分子化合物を探索する系を確立した。この系を用いてgem構造またはCajal小体を変化させる因子や低分子化合物のスクリーニングを開始し、スプライシングに影響するかどうか検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、正常ヒト線維芽細胞及び脊髄性筋萎縮症患者由来細胞を用いた外来からのSMN蛋白質発現系によるSMN2スプライシング系を構築し、経時的なスプライシング状態を解析できるようになった。より感度の良いレポーター遺伝子を導入したスプライシングアッセイ系の確立は遅れているが、並行してSMN蛋白質複合体の挙動とスプライシングへの影響を解析することを進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、内在のSMN蛋白質の発現量が異なる脊髄性筋萎縮症患者由来細胞を用いてSMN2スプライシングパターンを経時的に詳細に調べる予定である。さらに、SMN蛋白質の発現導入により構築されるgem構造とスプライシンングへの影響を調べるために、培養細胞系を用いてスプライシング因子、gems構造に影響を及ぼす因子や化合物の探索を行い、スプライシング制御への影響を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定だった細胞培養用プレートを物品費として購入する際、目的のロットの在庫切れで購入が遅れ、さらに値段の高騰により購入残額が足りなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在細胞培養に用いている培養プレートは製品ロット差があるので、最適なロットを確保次第、次年度分として請求し、購入する予定である。
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