2014 Fiscal Year Research-status Report
重症感染症を惹起するインフルエンザ菌無莢膜株の社会的重要性とその病原因子解析
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26461564
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石和田 稔彦 千葉大学, 真菌医学研究センター, 准教授 (30344980)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インフルエンザ菌f型 ST124 / 侵襲性感染症由来インフルエンザ菌無莢膜株 / PFGE解析 / 血清殺菌能 / 細胞通過能 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン導入前後に分離された侵襲性感染症由来インフルエンザ菌株を全国から収集し、血清型解析を行い、非b型株を収集した。Hibワクチン普及後、侵襲性感染症からの非b型株分離例が増加している。 非b型髄膜炎由来株は2株収集したが、いずれもf型株であり、Multilocus sequencetyping(MLST)解析を行ったところ、欧米で新たに問題となっているST124であった。(Hifによる髄膜炎は全国で3例報告されている。) 全国から収集した侵襲性感染症由来インフルエンザ菌株について、莢膜凝集反応とPCR法を用いて血清型解析を行い、莢膜遺伝子をもたず、無莢膜株(NTHi)と判定した菌株は23株であった。基礎疾患を有する症例、新生児症例を除いた14株を用いて、Pulse field gel electrophoresis(PFGE)解析を行ったところ、Hib株と異なり、多様なPFGEパターンを示した。 NTHi株の表現型解析については、生物型、血清殺菌能(IC 50%assay)、細胞通過能(Trans-well assay)を行った。生物型は、Ⅱ型とⅢ型が主体であった。血清殺菌能、細胞通過能については、コントロール株(NTHi標準株)に比較して殺菌抵抗性が高い株や、細胞通過性が高い株は認めるものの一定の傾向は認められなかった。 これまでの研究の中で侵襲性感染症由来、非b型株のうち、国内で今後問題となる可能性のある菌株がHif ST124株であることを明らかにした。侵襲性感染症由来NTHiは多彩であり、今後更なる病原性解析を行っていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度予定していたNTHi株の収集と、生物型、血清殺菌能、細胞通過能など表現型解析を行うことが出来た。また、平成27年度の検討課題であったPFGE解析を行った。 研究を行う中でNTHi以外にHif ST124が国内で問題になっていることを明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討から、侵襲性感染症由来NTHiは多彩な表現型とPFGEパターンを有することが明らかになったが、呼吸器由来株と比較して、高い病原性を示す点は見い出せていない。 私たちは、以前NTHiによる髄膜炎症例を経験し、そのNTHi株は、一般的にNTHiが有している気道細胞への付着因子であるP5を有していなかった。この点に注目し、侵襲性由来NTHi株の付着因子の有無、biofilm産生能(侵襲性の強いHibは、NTHi株に比較してbaiofilm産生能は低いとされる)について検討する予定である。 また、次世代シークエンサーを用い全ゲノム配列を同定し、病原因子を解析する点ついても検討を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に行った研究に必要な試薬、消耗品に関して、当初予定していた予算より低額で購入が可能であったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度新たに実施するBiofilm産生能評価ならびに、遺伝子型解析のための試薬、消耗品として使用する予定である。
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[Journal Article] Analysis of Haemophilus influenzae serotype f isolated from three Japanese children with invasive H. influenzae infection.2015
Author(s)
Hoshino T, Hachisu Y, Kikuchi T, Tokutake S, Okui H, Kutsuna S, Fukasawa C, Murayama K, Oohara A, Shimizu H, Ito M, Takahashi Y, Ishiwada N.
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Journal Title
J Med Microbiol
Volume: E-pub ahead of print
Pages: E-pub
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The incidence of pediatric invasive Haemophilus influenzae and pneumococcal disease in Chiba prefecture, Japan before and after the introduction of conjugate vaccines.2014
Author(s)
Ishiwada N, Hishiki H, Nagasawa K, Naito S, Sato Y, Chang B, Sasaki Y, Kimura K, Ohnishi M, Shibayama K.
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Journal Title
Vaccine
Volume: 32
Pages: 5425-5431
DOI
Peer Reviewed
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