小児上衣腫の層別化および分子標的療法を目指した分子診断法の確立

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26461573
• Research Institution: Matsumoto Dental University
• Principal Investigator: 塩原 正明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (00293514)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 重村 倫成 信州大学, 医学部, 助教 (70623916)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 上衣腫

Outline of Annual Research Achievements

研究課題名：「小児上衣腫の層別化および分子標的療法を目指した分子診断法の確立」
研究項目：（１）SNP arrayによる網羅的DNA解析（２）450Kメチル化アレイを用いてのメチル化プロファイル解析（３）変異の確認（４）上衣腫の生物学的特性に影響を及ぼすDNA変異の解明
平成２６年度の研究項目：（１）について、小児上衣腫症例の凍結標本またはパラフィン包埋検体からgonomic DNAを抽出し、高密度SNP arrayにより全染色体領域にわたって、網羅的かつ詳細に微細欠失・重複およびLOHにつき解析を行った。
平成２６年度の研究目的：上衣腫における重複、欠失およびLOHにつき検討する。特に予後との相関がみられる1q25領域のコピー数増幅の有無との関連に着目する。
方法：信州大学附属病院および長野県立こども病院における上衣腫30例の凍結検体(このうち14例では再発時検体も解析可能）、もし凍結検体がない場合はパラフィン包埋サンプルを用いる。具体的手順としては、①ゲノムDNAを抽出し、制限酵素NspIでdigestionの後、共通adaptorを付加する。②単一PCR primerで増幅した後2% agarose gelでPCR産物のサイズ確認を行う。③増幅断片を精製、DNaseIで断片化し、ビオチン修飾する。④18時間のハイブリダイゼーション後に洗浄し、Affymetrics社 High Density SNP Arrayによる全染色体にわたるallelotypingをCytoScanHD arrayで行う。コントロールDNAの情報はHapMap Dataを利用する。
結果：新たに上衣腫１０例につきSNP array解析を施行した。このうちパラフィン包埋検体を用いた解析では結果が安定しないため更なる条件設定のための予備実験が必要である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、（１）上衣腫30例において、ジェネティックな変化を検出する目的で、高密度SNP arrayによる全染色体DNA解析を行い、重複、欠失およびLOHにつき検討する。（２）エピジェネティックな変化を検出する目的で450Kメチル化アレイを用いて上衣腫のメチル化プロファイル解析を行う。（３）（１）および（２）の結果と臨床像との相関につき包括的に検討し、従来の光学顕微鏡に依存した病理診断に代わる分子診断の可能性と新規遺伝学的特性につき総合的に解明することを目的とする。本年度は（１）につき１０例の解析を施行した。パラフィン包埋検体を用いた検体では更なる予備実験が必要であるが、凍結検体については順調に解析が進展している。

Strategy for Future Research Activity

（１）上衣腫における高密度SNP arrayによる全染色体DNA解析を、さらに検体数を増やして行い、重複、欠失およびLOHにつき検討する。
（２）上衣腫のメチル化プロファイル解析を行うための予備実験を開始する。
（３）予後との相関が報告されているtenascin-C, NELL2, LAMA2などの免疫組織染色によるマーカー発現との関係について解析するための予備的検討を行う。

Causes of Carryover

平成２６年度に購入予定であったCytoscan HD array kitなどを平成２７年度購入に予定変更したため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成２７年度にCytoscan HD array kitおよび平成２６年度に予定していた消耗品をを購入する予定。