2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞をもちいた小児悪性腫瘍に対する新規免疫療法の開発
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26461583
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮村 能子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (20379796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋井 佳子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60343258)
北畠 康司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80506494)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がん免疫療法 / iPS細胞 / ゲノム編集技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小児悪性腫瘍における新たな治療戦略としてのがん免疫療法による効果をより高くより長く維持するために、WT1特異的キラーT細胞からiPS細胞を樹立し、再度T細胞へ分化誘導することによって、WT1抗原のみを認識するキラーT細胞を大量に得ることを目指している。初年度となる今年は患者末梢血中に存在するWT1-CTLを採取しそこからヒトiPS細胞を樹立することと、ゲノム編集技術の確立を行った。 多くの小児悪性腫瘍ではWT1が発現されており、患者は末梢血中にWT1-CTLを有しているため、この内因性WT1-CTLを、MHCテトラマー試薬を用いたフローサイトメトリーによって採取することをめざしたが、細胞数が少なくiPS細胞樹立のために十分な数の細胞を得るに至らなかった。現在、末梢血をWT1ペプチドで直接刺激し、WT1-CTLを作製する方法を検討中である。 また腫瘍細胞のもつ免疫逃避作用の解除を狙うため、iPS細胞での遺伝子改変技術の確立を目指した。マウスES細胞とは異なり、ヒトES/iPS細胞では相同組換え頻度が低く、これまでの技術では遺伝子改変は極めて困難である。そこで近年発明されたゲノム編集技術をもちいることによって、ヒトiPS細胞における遺伝子改変を行うことをめざした。Golden Gate TALENシステムをもちいたTALE Nuclease(TALEN)およびCRISPR/Cas9システムの導入を行い、複数個での遺伝子改変に成功し、その基盤技術を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲノム編集技術の確立については、当初予定していた以上に進み、しっかりとした技術が確立された。しかしながら患者検体からの内因性WT1-CTL細胞の採取については、十分な数の細胞が得られず、今後改良を加える必要があると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
患者末梢血をWT1ペプチドで直接刺激し、WT1-CTLを作製する方法を検討している。すなわち患者末梢血単核球を3度にわたってWT1ペプチドで刺激を行い、その都度細胞を濃縮していく方法である。この方法は時間(数ヶ月)がかかるものの、iPS細胞を樹立するには十分量のWT1-CTLを得ることが可能と考えられる。
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