2014 Fiscal Year Research-status Report
TEL-AML1陽性白血病の発症過程の解明と分子標的療法の開発
Project/Area Number |
26461587
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
江口 峰斉 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50420782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 榮一 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20176126)
江口 真理子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40420781)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小児血液学 / 白血病 / 融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Chicken-b-actinプロモーター下にTEL-AML1を発現する発現ベクターを作製し、マウスES細胞に遺伝子導入し、恒常的にTEL-AML1融合遺伝子を発現するマウスES細胞を作製した。免疫不全マウスの血液中でES由来細胞を容易に識別するために、TEL-AML1のアミノ末端側にEGFP (緑色蛍光タンパク質)を結合した発現ベクターを作製し、実験に用いた。TEL-AML1を発現するES細胞を造血細胞へ分化させると、野生型のES細胞と異なり、早期の造血幹細胞を含む分画であるTie2陽性c-kit陽性分画は減少しており、Tie2陰性c-kit陽性の細胞群が増加する。これらのTie2陰性c-kit陽性の細胞群は造血細胞への分化に必要な転写因子群の発現が低下しており、造血コロニーアッセイにおいても造血コロニー産生能が著しく低下していた。このことからTEL-AML1発現細胞においては、少数産生されるTie2陽性c-kit陽性細胞群が白血病幹細胞を含み、白血病の発生母地となると考えられる。Tie2陽性細胞分画を分離して免疫不全マウス(NOGマウス)に尾静脈より移植し、白血病の発症の有無を検討したが、有意な白血病の発症は認められなかった。これはTEL-AML1融合遺伝子単独では白血病の発症に十分ではないことを示しており、TEL-AML1融合遺伝子以外に付加的遺伝子異常が必要であることを示唆している。 TEL-AML1を発現するマウスES細胞に付加的遺伝子異常を導入するために、レトロウイルスによる挿入変異の実験系を用いた。現在マウスES細胞を同様にTie2陽性細胞へ分化させ、レトロウイルスベクターを導入して遺伝子変異を付加し、細胞の増殖能・分化能、免疫不全マウスでの白血病の発症の有無などを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TEL-AML1発現マウスES細胞へのレトウイルス感染と挿入遺伝子変異の導入が技術的に安定しなかったため、当初の達成目標より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画の推進に必要な実験手技はほぼ確立しており、今後の実験計画に沿って白血病モデルの作製と治療標的の同定に関して検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
免疫不全マウス(NOGマウス)を用いたマウスES細胞由来の造血前駆細胞の移植実験が当初の予定より進まなかったため、マウスやその解析に必要な費用が予定を下回った。また学内資金による本研究計画への研究費の補助が得られたため、研究費の使用額が減り、研究費に次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は研究計画通り、免疫不全マウスを用いたTEL-AML1融合遺伝子を発現するマウスES細胞由来の造血前駆細胞の移植実験を行う。また挿入遺伝子変異を細胞に導入し、細胞増殖や分化、白血病発症能に関する検討を行う。
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