2016 Fiscal Year Research-status Report
神経芽細胞腫におけるNIPA蛋白とMYCN蛋白の相互作用についての研究
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26461601
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
川口 裕之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 小児科学, 准教授 (00313130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 潤 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20146707)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経芽細胞腫 / 横紋筋肉腫 / 遺伝子発現 / 細胞周期 / ユビキチン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在まで (1) NIPA の抑制により増殖が抑制される細胞株として、SK-N-MC, GOTO, SK-N-DZ, CHP-212 (抑制群) を、逆に抑制されない株として TGW, KELLY, NB-1, NB-39nu, SK-N-AS, IMR-32 (非抑制群) を特定した (2) これらの細胞株について遺伝子発現プロファイルを分析したところ、群間の遺伝子発現について特定の傾向はなかった (3) 個々の細胞について、NIPA の発現を抑制した場合に遺伝子の発現の変動を検討した (4) 抑制群において有意な発現の変動が観察され、非抑制群において変動がなかった遺伝子として366個の遺伝子を特定し、このうち腫瘍の発症に関連が強いと思われる遺伝子群について、NIPAとの関連を検討している。NIPAの抑制の結果、MYC・MYCNの発現も抑制されており、これらの間の相互作用のメカニズムを明らかにしたいと考えている。また、先行研究からサイクリンB1のユビキチン化の調節障害が証明されており、神経芽細胞腫の増殖抑制においての寄与を評価する予定である。 一方、他の小児がん細胞株についてNIPAの抑制が増殖に影響するかどうかを評価する目的で、横紋筋肉腫とユーイング肉腫の細胞株についてNIPAの遺伝子発現を抑制する実験を行なったところ、横紋筋肉腫の細胞株において、増殖抑制を観察した。今後、この増殖に対する影響のメカニズムについての検討を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験助手を解雇した後、必要な実験の実施について研究責任者の時間的制約があった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記研究実績の概要に述べた様に、神経芽細胞腫の細胞株にはNIPAの影響を受ける細胞株とそうでない細胞株が同等に存在することが判明した。すなわち神経芽細胞腫は表現型または遺伝子型から生物学的に異なる特性を有する二群に分けることができる可能性がある。本来の研究目標のMYCNとの関連を明らかにする作業と並行して、この二群の特性についての検討を進める。既に遺伝子発現のプロファイルのデータは得られており、データ処理の作業が主な内容になる。この一方、細胞株で得られた神経芽細胞腫の二つのカテゴリーが臨床検体においても存在するかどうかについて、臨床検体での検討を並行して進める予定である。
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Causes of Carryover |
前述の様に実験助手を解雇したことに伴い当初の計画と比べて作業の遅延が発生した為、研究期間の延長の必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞株・臨床検体の遺伝子発現の操作・これによる細胞の表現型の変化の分析・タンパクの相互作用の分析を行うために必要な細胞培養・タンパク分析の為の試薬、データ処理、学会参加の旅費等に使用する予定である。
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