2016 Fiscal Year Research-status Report
小児腎炎の非侵襲的組織診断方法の開発:MRI拡散テンソル画像による組織診断
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26461621
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高橋 和浩 帝京大学, 医学部, 講師 (60297447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 知紀 帝京大学, 医学部, 講師 (30514781)
中村 明夫 帝京大学, 医学部, 講師 (70266287)
古井 滋 帝京大学, 医学部, 教授 (40114631)
関根 孝司 東邦大学, 医学部, 教授 (50255402) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腎炎 / 小児 / 拡散テンソル画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
検討した症例の概要:今年度は新たに6例の小児腎炎患者(IgA腎症1例、紫斑病腎炎2例、巣状糸球体硬化症1例、リポ蛋白糸球体症1例、ループス腎炎1例)を検討した。診断は各症例の病理標本をもとに行った。 解析方法の開発状況:TGの前に腎を他臓器から分離するプロセス(segmentation)は、バックグラウンドや周囲臓器からの影響を排除し、純粋に腎単独のtractography (TG)を得る上で必須のため、今年度も米国Stanford大学小児腎臓科と放射線科との共同研究を継続し、segmentation処理を自動化するソフトの開発を継続した。右腎ではsegmentationができたものの、左腎は脾臓との分離が脾・腎コントラストが類似していること、脾臓自身がTGを描出できる組織であることから、脾・腎間でTGがfusionする現象を解決できず、左腎のsegmentationは依然困難となっている。 解析結果の概要:患者群において、治療により尿所見が改善した症例では、実際の拡散テンソル画像所見も改善していることから、TGと尿所見が有意に相関することがしめされた。 研究実績の発信:本年度の成果は2016年7月に開催された日本小児腎臓病学会学術総会で発表(口演)した。 本研究と並行し、静態腎シンチグラフィーが腎機能を反映すること、腎のTGでもネフロン数すなわち腎機能を反映しうることから、小児先天性尿路奇形の患児を対象に腎TGと腎静態シンチグラフィーとの関連を検討した。その結果解像度、被爆、侵襲、造影剤の全ての点で、腎TGの優位性が示された。 本結果も2017年4月の日本小児科学会学術集会で発表したほか、2017年5月の日本腎臓学会学術総会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題研究期間(2014~2016年度)の3年間で計29回の解析データを得ることができ、本研究課題申請時における3年間の目標症例数20例を大きく上回った。また腎生検およびMRI撮影に伴うトラブルも発生せず、課題自体の遂行は当初の計画以上に遂行していると考えられる。 その一方で左腎のsegmentation処理が困難で、3年間の期間内で解決することが時間的に厳しかったことから、いったん右腎のみのデータで検討することで論文化をはかったものの、左右の腎でのDTIの差がないことを示すように要求された。このため、論文受理にむけて日米共同研究を継続し、左腎のsegmentaionの自動化法を開発することとし、研究期間を1年間延長する必要が生じた。 以上から、プロジェクト全体の評価としては「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
腎のsegmentation処理は画像全体から腎単独のデータを分離する必要があるが、スライス数が多く、手作業では画像の量が多く大変煩雑であるため、自動化は必須である。 米国Stanford大学小児腎臓科および放射線科に加え、同大学Center for Cognitive and Neurobiological Imagingおよび米国Washington大学eScience Instituteとも強固に連携して腎のsegmentation処理自動化の共同研究を行う。 今年度前半までに腎segmentation処理のアルゴリズムの改良を行い、研究を完成させたいと考えている。
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Causes of Carryover |
①期間延長によりさらなる症例検討が見込めるため。 ②論文受理のため、両腎のデータ比較を要求されており、そのためにこれまでのソフトウェアの改良が必要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
①2017年7月までに3例の腎生検を見込んでおり、生検の検体処理や病理組織のデジタル化のため、研究支援員を雇用して対応する。 ②改良したソフトウェアで全例のDTIデータを再処理し、統計学的検討を行うため、研究支援員を雇用して対応する。 以上のように今年度は新規症例の病理組織標本作成に伴う消耗品と人件費、DTIデータの再解析に伴う人件費に予算を大部分を配分して研究を遂行する。
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