2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of genetic inactivation of Keap1 on the kidney morphogenesis in mice
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26461622
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
新村 文男 東海大学, 医学部, 准教授 (30282750)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 先天性腎尿路異常 / 水腎症 / Keap1 / Nrf2 / 抗酸化防御機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
Keap1-Nrf2系は抗酸化防御機構の中心的役割を担っている。Keap1遺伝子の不活化はNrf2の恒常的活性化とその下流にある抗酸化作用を有する遺伝子群の高発現を来す。かつて実験に用いたKeap1ノックダウンマウス(発現が減弱)にて水腎が観察されたことから、Keap1を不活化したノックアウト(KO)マウスでは腎形態に異常が生ずると予測し、検討した。既報通り生後3週ではKOマウスは生存せず、生後10日以内に観察した。平成28年度はKOマウスの観察数を増やし、日齢0から10まで観察した。KOマウスは日齢0では野生型(WT)と同体重だったが日齢9ではKOマウスはWTに比し有意に低体重であった(3.15±1.00 vs. 5.87±1.55 g)。予想に反しKOマウスは水腎を呈さなかった。組織学的にも腎髄質や皮質に嚢胞はなかった。正常マウスでもボウマン嚢内に近位尿細管細胞を認めることが多いが、KOマウスでそれがより顕著であった。KOマウスでは食道平滑筋肥厚による哺乳障害が報告されているが、胃内ミルクや大腸の便貯留はあり、低体重の原因として別要因も想定される。平成28年度では、前年度末に作製された近位直尿細管特異的Keap1遺伝子不活化マウスにつき32週齢以降に観察した。腎嚢胞の出現を期待したが、主に近位直尿細管からなる髄質外層外帯は正常に形成され、嚢胞もなかった。以上より、少なくとも通常飼育環境ではKeap1不活化は腎形態形成に影響を与えないと考えた。低酸素、低栄養、薬物暴露などの過酷な環境下では何らかの異常を来す可能性は否定できないが、腎の形態形成における役割は限定的と考えた。近位直尿細管は薬物や低酸素の影響を最も受けやすい部位で、近位直尿細管特異的Keap1不活化マウスはそれらにより惹起される腎障害が軽減される可能性があり、今後モデル動物としての利用が可能であると考えている。
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