2015 Fiscal Year Research-status Report
ミゾリビン吸収における濃縮型拡散トランスポーターの関与
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26461626
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岡田 満 近畿大学, 医学部, 教授 (20233348)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 医学 / 薬物動態 / 遺伝子多型 / トランスポーター / Na依存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫抑制薬であるミゾリビンは、小児の頻回再発型ネフローゼ症候群の治療薬として十分な血中濃度が維持された場合に著効を示す。しかし、ミゾリビンの血中濃度は、個体差および日による変動が激しく、消化管での吸収状態が体内薬物動態に大きく影響すると考えられる。申請者は、ミゾリビン吸収にはconcentrative nucleoside transporter(CNT)2輸送系が関与していることを見出しことから、本研究にて、ミゾリビン吸収におけるCNT1,2,3遺伝子多型の関与、およびCNT輸送系に深く関わる塩分摂取量の影響を検討している。研究計画を遂行するために、平成26年度にはCNT1~3遺伝子多型の判定を行なう方法の確立を目指して検討した。その結果、CTN1~3多型の判定法を確立し、一部の症例における発現頻度を確認した。今年度は症例数を増やし、測定症例が77例で、現時点では統計学的有意差は示されてはいないが、目標症例数に達することにより、ミゾリビン血中濃度と各遺伝子多型の関与について明らかになると考えられる。また、ミゾリビン吸収における塩分摂取量の影響について検討として、食事内容についての食事日誌の記載、および塩分計を使用した塩分量の測定をパイロット的に数例施行したが、問題なく行なえることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標症例数として、日本人でのSNPs の頻度はCNT1 は 0.090、CNT2 は 0.167、CNT3 0.156 とされ、実際に 1 つ以上の多型を有する頻度を 10〜15 % 程度と仮定 すると、有意差を示すために 100 例程度は必要と考えており、現在は77例を測定している。そのために、現時点では統計学的有意差は示されてはいないが、来年度に症例数をさらに集積することによって、ミゾリビン血中濃度と各遺伝子多型の関与について明らかにしていくことが可能と考えている。 また、CNT輸送系に関わる塩分摂取量の影響についての検討も、問題なく行なえることが示されたため、症例数を増やしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定として、目標症例数におけるCNT1~3遺伝子多型の検討を進め、ミゾリビン吸収におけるCNT1~3遺伝子多型の関係を明らかにして、個体差の原因を明確化する。また、ミゾリビン血中濃度の日による変動が、CNT輸送系に関わる塩分摂取量の影響について、ミゾリビン吸収における塩分摂取量とミゾリビン血中濃度との関連を明らかにする。さらに、これらの事柄について、動物実験にても証明できるかを検討していく。
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