2015 Fiscal Year Research-status Report
早産児における自己臍帯血輸血による新たな神経学的後障害予防戦略
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26461649
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
細野 茂春 日本大学, 医学部, 准教授 (50339339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渕上 達夫 日本大学, 医学部, 准教授 (60201753)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 早産児 / 胎盤血輸血 / 臍帯ミルキング / 臍帯遅延結紮 / 神経学的予後 / 脳性麻痺 / 精神発達遅滞 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度の研究実績としてランダム化比較試験に登録された212名における短期予後について解析を行った結果、臍帯ミルキング1回法による出生児のヘモグロビン値は15.3±2.1 g/dLで早期結紮群のヘモグロビン値14.1±1.9 g/dLと比較して統計学的に有意に高く(p<0.001)、入院中の死亡率、無輸血率、III度以上の頭蓋内出血の頻度は有意に早期結紮群と比較してミルキング群では低かった。 H27年度では1歳6か月での神経学的後障害の判定を行った。1次解析の154例の内退院死亡8例で146例が生存退院した。そのうち115例(臍帯ミルキング群62例、早期結紮群63例)が1歳半のフォローアップ成績が得られた。フォローアップ率は78.8% であった。1歳半の神経学的後障害は1.てんかん、2.Gross Motor Function Classification System、3.新版K式による精神運動発達評価、4.てんかん、5.難聴、6.視力障害、とした。評価時期は修正18.0±2.0か月の時点での評価としたが実際の評価時期はミルキング群18.5±1.5か月、早期結紮群では18.7±1.6か月で両群間で有意差はなかった(p=0.56)。脳性麻痺の頻度は ミルキング群で3.2%、早期結紮群では19.0%で統計学的に有意にミルキング群で低かった (p=0.005)。 Gross Motor Function Classification Systemのレベル0の頻度は ミルキング群で91.9%、早期結紮群では71.4%で統計学的に有意にミルキング群が高かった(p=0.005)。新版K式による精神運動発達評価では両群に統計学的有意差はなかった(86.8±16.6 vs. 85.7±16.5, p=0.51)が発達指数70未満の割合はミルキング群で12.6%、早期結紮群では20.9%で統計学的に有意にミルキング群が低かった(p=0.046)。補聴器を用いても両側聴力が得られない児および両側全盲の児は両群間にいなかった。 1歳半の短期予後での検討ではあるが臍帯ミルキングによる胎盤血輸血は早期結紮群と比較して神経学的後障害軽減に寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は前方視的ランダム化比較試験(UMIN00000900)として実施されており昨年の短期的予後解析に続いて今年度は1歳半の予後解析を行った。今回の2016年2月時点でのデータ返送率からのフォローアップ率は78.8% であったためひき続きデータの収集に努める。平成28年5月米国ボルチモアで行われる米国小児科学会で口演発表する事が決まっており論文化も進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は修正18か月時点での神経学的予後判定に続き、最終目標である暦年齢3歳時での神経学的予後(1.てんかん、2.Gross Motor Function Classification System、 3.新版K式による精神運動発達評価、4.てんかん、5.難聴、6.視力障害)解析を行うため研究協力施設に3歳時予後のデータの返送を郵送で依頼し統計学的解析を行う。 平行して短期予後及び1歳半での神経学的予後解析のデータを論文化して国際誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
国際学会での発表2回を計上していたが1回は発表がなかったため1回の支出となった。また論文作成が遅れたためそのための英文校正、投稿料の支出ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は2016年4月30日~5月3日に米国ボルチモアで開催される2016米国小児科学会で演題が受理され口演する予定である。また12月3日~6日に開催される米国ワシントンDCで行われるHot Topic in Neonatology で成果発表をする予定である。今年度は3歳時の予後調査の郵送によるデータ収集と解析を行う。また短期予後、1歳半での予後データの英文論文執筆投稿を行う。 以上から物品費40万円、旅費100万円、その他50万円を概算で計上する。
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Research Products
(5 results)