2014 Fiscal Year Research-status Report
メレダ病における過角化機序の解明と新規蛋白補充療法の開発
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26461653
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中島 康爾 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70374832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 英二郎 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30436034)
六戸 大樹 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50436036)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 遺伝病 / 皮膚 / 角化 / 治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
メレダ病は常染色体劣性の掌蹠角化症であり、アドリア海のメレダ島に多くみられることから命名された。本症における掌蹠角化は高度で手背足背に及ぶため指趾に絞扼輪を作り指趾の切断にもいたることがある。またその原因遺伝子がSLURP1遺伝子であることが明らかにされている。我々グループは日本人本症2家系においてSLURP1遺伝子の解析を行い、日本にもメレダ病が存在することを初めて示している。この遺伝子産物であるSLURP1はほぼ全身の細胞で産生され細胞外に分泌され、ニコチン型アセチルコリン受容体に結合するリガンドと考えられているが、なぜSLURP1の欠損から掌蹠角化が生じるかについてはいまだに解明されていない。本研究の目的は、SLURP1の欠損により表皮細胞の過度な角化に至る機序を明らかにすること、ならびに合成SLURP1を用いた蛋白補充療法の可能性を検討することである。本年度はメレダ病の患者の遺伝子変異検索を行い、メレダ病患者の表皮細胞と線維芽細胞の培養を試み、遺伝子導入による誘導実験を検討した。当科に全国や海外から遺伝子変異検索を依頼された角化が強く絞扼輪を生じるような症例を蓄積し、SLURP1遺伝子の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メレダ病の患者の遺伝子変異検索を行うため、当科に全国や海外から遺伝子変異検索を依頼された角化が強く絞扼輪を生じるような症例を蓄積するとともに、ゲノムDNAについて、SLURP1遺伝子の解析を行い変異を同定した。メレダ病の患者の皮膚を生検し、表皮と真皮を分離培養し、細胞での遺伝子導入による誘導実験をRT-PCRやウエスタンブロットなどで検討した。計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
メレダ病の患者の皮膚を生検し、表皮と真皮を分離し表皮細胞と線維芽細胞を分離培養し、SLURP1遺伝子や蛋白の発現を確認し、SLURP1cDNAのクローニングしたものをベクターに挿入し遺伝子発現の変化をRT-PCRやウエスタンブロットなどで検討した。1)患者細胞遺伝子発現の網羅的解析(RNAseq):培養患者表皮細胞と線維芽細胞からtotal RNAを分離する。Poly(T)オリゴビーズにてPoly A RNAを精製し、逆転写酵素でcDNAを作成しPCRで増幅しシークエンス解析を行う。そしてリファレンス上にマップしRPKM値を算出し、表皮細胞の分化・増殖・遊走に関連する遺伝子の発現に注目する。2)siRNA導入による抑制実験:合成したSLURP1遺伝子抑制siRNA発現ベクターを構築し正常細胞に導入してメレダ病にみられる変化が生じるかを検討する。また、合成SLURP1作成のニコチン性アセチルコリン受容体への結合実験を行い、改良型合成SLURP1の細胞や組織での効果判定を、無免疫ラットに移植した3次元皮膚にて合成SLURP1を外用または全身投与を行い効果を確認する。
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