2014 Fiscal Year Research-status Report
皮膚筋炎におけるDNAミスマッチ修復酵素に対する自己免疫応答の解明
Project/Area Number |
26461656
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
室 慶直 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80270990)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 皮膚筋炎 / 多発性筋炎 / 自己抗体 / DNAミスマッチ修復酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA修復機構は細菌からヒトまで保存されている重要な生命機構である。DNA mismatch repair (MMR)はミスマッチ認識、エラー鎖切断、断片鎖除去、DNA修復合成と進行するが、ヒトではミスマッチ認識に必要な7種の酵素(MSH2, MSH3, MSH6, PMS1, PMS2, MLH1, MLH3)が存在する。PMS1, PMS2, MLH1に対する自己抗体が2001年に海外から筋炎特異的抗体として報告され、2005年には我が国からMSH2とPMS1に対する抗体が膵癌患者と筋炎患者で報告されたが、その後の報告に乏しい。本研究では筋炎を中心に各種膠原病患者における7種の酵素に対する自己抗体の存在を調べ、臨床的意義について検討した。 皮膚筋炎(DM)160例、多発性筋炎(PM)57例、筋炎オーバーラップ症候群(OS)22例、全身性エリテマトーデス(SLE)40例、強皮症(SSc)20例、シェーグレン症候群20例、関節リウマチ20例を対象とした。7種酵素のcDNAを用いたリコンビナント蛋白によるELISA、免疫沈降法(IP)によりスクリーニングを行い、IP-ウエスタンにより抗体の確認を行った。 9例のDM、3例のPM、3例のOS、3例のSLEにMLH1(12例)、PMS1(11例)、 MSH2(4例)、PMS2(2例)に対する抗体を同定した。これら18例のうち8例は2種以上の抗体が共存した。また13例はDM/PMやSLE、SScにおける疾患マーカー抗体が併存したが、5例のMMR酵素抗体単独陽性例は筋炎関連疾患に限られた。 MMR酵素に対する自己抗体の頻度は酵素間で異なることが示された。MMR酵素に対する自己抗体は筋炎特異的抗体とはいえないが、筋炎関連抗体として同定することは臨床上も重要であると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
7種類すべての実験対象タンパクに対する自己抗体の有無を多数症例で解析し、成果発表もできたことから、当初の計画以上に進展しているとも言えるが、その分、培養細胞を用いた実験に手が回らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
自己抗体の標的となっていることが判明したMMR酵素の細胞内での発現様式での変化を生じさせる刺激応答を探索する。培養細胞もしくは、入手可能であれば患者生検材料を用いてのin vivo実験への可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
培養細胞を使用した実験が遅れているため当初購入予定だった培養関係の試薬の購入が平成27年度にずれこんだため。。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養細胞実験に使用する細胞や培地、および各種サイトカインなどの試薬消耗品の購入に使用する。
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