2014 Fiscal Year Research-status Report
表皮角化細胞産生セリンプロテアーゼ阻害因子の発現制御機構の解析
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26461658
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森実 真 岡山大学, 大学病院, 助教 (80423333)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セリンプロテアーゼ阻害因子 / アトピー性皮膚炎 / Th2サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
表皮のバリア形成に重要な因子のひとつとしてセリンプロテアーゼ活性があり、その活性を制御するのは表皮角化細胞が産生するセリンプロテアーゼ阻害因子である。我々はセリンプロテアーゼ阻害因子の発現を誘導する機構について培養ヒト表皮角化細胞を用いて,転写レベル,蛋白レベルで,それぞれリアルタイムPCR (Applied Biosystems社),ELISA Uscn Life Science Inc.社) を用いて解析した。 これまでの研究で我々は炎症性サイトカインTNF-alphaがserine protease inhibitor Kazal-type (SPINK)5、secretory leukocyte peptidase inhibitor(SLPI)、エラフィンの発現を優位に増強することを見出した。今回我々はTh2サイトカインであるIL-4とIL-13がTNF-alphaによるセリンプロテアーゼ阻害因子の発現誘導に与える影響を検討した。表皮角化細胞をTNF-alpha+IL-4+IL-13で24時間共刺激したところ、TNF-a単独刺激に比して優位にSPINK5、SLPI、エラフィンの発現を抑制することを見出した。 さらに自然免疫において重要な役割を果たすToll様受容体(TLR)を介したシグナルがこれらのセリンプロテアーゼ阻害因子の発現に与える影響を検討したところ、TLR3リガンドpoly(I:C)、TLR5リガンドflagellin、TLR2/6リガンドMALP-2によって有意にSPINK5の発現は優位に増強された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Th2サイトカインはアトピー性皮膚炎の病変部において高発現している。SPINK5の発現は他の炎症性皮膚疾患である乾癬病変部で著明に増強している一方で、アトピー性皮膚炎病変部では正常皮膚と同レベル程度しか認めていない。今回の培養ヒト表皮角化細胞を用いて得られた知見はアトピー性皮膚炎病変部のセリンプロテアーゼ阻害因子の発現抑制を説明しうる大変興味深い所見である。
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Strategy for Future Research Activity |
培養ヒト角化細胞を用いた系では炎症性サイトカイン、TLRリガンドがセリンプロテアーゼ阻害因子の発現を誘導する機構についてさらに詳細に検討する。 ハプテン繰り返し投与のTh2依存性皮膚炎モデルマウス(アトピー性皮膚炎モデルマウス)を用いてセリンプロテアーゼ阻害因子の発現を亢進・減弱する詳細なメカニズムを解析する。
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