2015 Fiscal Year Research-status Report
識別の根拠が提示できる高信頼メラノーマ自動識別システムの構築
Project/Area Number |
26461666
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
彌冨 仁 法政大学, 理工学部, 准教授 (10386336)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | メラノーマ / 自動診断支援 / 機械学習 / 画像解析 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
メラノーマの自動診断の際に、利用者に対して理解しやすい形で診断の根拠を提示することで、システムに対する信頼性を向上させることを目的に、高い識別能と、識別の過程の見通しができるRandom Forest識別器を基礎要素に用いた識別システムを構築し改良を続けてきた。高い識別能と、得られる識別の根拠の可読性の両立のため、Random Forestにおいて識別に必要な特徴量を自動選択できる仕組みを開発した。その結果、利用者に理解しやすい腫瘍の色情報のみを用いた識別ルールを提示しながら、およそ8割の精度でメラノーマと母斑の識別を実現した。識別率を追い求める研究は多くあるが、こうした根拠を提示する研究は見当たらず新規性が高い。可読性の高い実用的な識別ルールの提示に重きを置くため、識別能だけを比較すれば既存の最先端の成果に一歩譲るものの、皮膚科医に匹敵する精度を実現することができた。これらの成果は、難易度の高い画像認識の国際会議および、国内の学会で発表を行った。 一方、当初の研究テーマとは離れるが、近年機械学習、パターン認識の分野で大きな技術革新を実現しているdeep learning (深層学習)技術のメラノーマ識別問題への応用も始めた。今年度は、深層畳込みニューラルネットワーク(以下CNN)を適用し、これまで培った知見と融合することで、これまで困難であった腫瘍領域抽出を不要としながらも、従来の最先端に匹敵するメラノーマ識別精度を実現した。今後この技術を利用しつつ、本採択課題のメインテーマである診断根拠の提示に結び付けていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標としてきた内容について、研究2年目の現段階においてメラノーマの識別精度の数値目標についてはほぼ達成でき、識別の根拠の提示についても、「if 腫瘍辺縁の輝度のばらつきが35.5以下 and if 腫瘍内部の色が・・・then 良性の傾向が強い」のように、if-then形式で識別結果に至る結果を、利用者に比較的わかりやすい腫瘍の色情報のみを用いて、かつifの段数を少なく限定したうえで、提示することができた。 上記のように利用できる特徴量を色のみに限定し、かつif節で表される条件の数を制限した状態で、高い識別精度を実現するために、Random Forest識別器における、効果的な特徴量の選択手法を開発できたことは、このテーマの成果だけではなく、他のすべてのパターン認識問題に対して適用できる手法と考えている。一方、これまでの研究成果から前処理として腫瘍画像の色補正処理を加えることで識別精度の向上が期待できないかと、いろいろと検討してきたが、こちらについては現時点でいい結果が得られなかった。 また、近年極めて優れた学習アルゴリズムとして注目されているdeep learningの枠組みをもちいた研究も開始した。以上のことから、進捗状況は当初計画したのとほぼ同程度の進捗状況で進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記のように、メラノーマの自動識別問題において、優れた識別精度を実現しつつ、識別結果に至る結果を提示することができた。しかしながら、現時点では提供できている根拠が、例に示したように数値を含むものとなっており、また、皮膚科医が臨床で診断指標として用いているABCD ruleや7-point checklistとの関連が明らかではないため、今年度より利用者にわかりやすい形での提供のため、引き続き研究を行う。 一方、当初の予定とは異なるが、近年の機械学習分野でdeep learningと呼ばれる学習技術が画像認識分野で大変大きな成果を挙げている。私達は今後、この技術の中で画像認識問題において特に多くの成果を挙げているconvolutional neural networks (CNN)を用いた研究を行う。CNNは、その学習過程で、画像から直接識別のために必要な画像特徴を自動的に獲得することが可能なため、これまで困難であった特徴量の設計という困難な問題の解決に大きな助けになると期待している。
|
Causes of Carryover |
主に旅費について、他の研究費が利用可能であり、昨年度についてはそちらから支出したことにより、未使用額が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
近年のdeep learning技術の発展に伴い、計画時にはなかった複数のGPGPUを搭載したワークステーション、あるいは現在購入しているワークステーションにGPGPUボードを追加することで、価格性能比に優れた効果的な研究体制を構築していきたい。
|
Research Products
(11 results)