2016 Fiscal Year Annual Research Report
The induction of alarmins in keratinization disorders
Project/Area Number |
26461668
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
山西 清文 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10182586)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 角化症 / IL-33 / トランスグルタミナーゼ / 抗菌ペプチド / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚に作用する内的要因、並びに外的侵襲によって表皮角化細胞が傷害されると、角化細胞からIL-33やS100A8、S100A9などの複数の警告因子(alarmin)が放出され、炎症・修復反応が誘導される。本研究では、角化症における遺伝子変異と表皮における警告因子の発現について探索を行った。 前年度までに、全エクソーム解析を含め、40症例の角化症の遺伝子変異の解析を行うとともに、ネザートン症候群の表皮においてIL-33の発現亢進を見いだした。しかし、それ以外の角化症皮膚では、IL-33の発現の増加はみられなかった。 本年度は、魚鱗癬の表現型が生じるメカニズムについて検討を行った。TGM1欠損マウスの皮膚で発現する遺伝子を網羅的に解析し、TGM1欠損マウス表皮ではS100A8、S100A9などの警告因子を含め、IL-1などのサイトカインや抗菌ペプチドなど、自然免疫系の遺伝子群の発現誘導が生じることを見いだした。さらに、TGM1欠損マウス表皮の抽出液は野生型に比較して大腸菌、黄色ブドウ球菌に対して強い抗菌活性を持つことを明らかにした。TGM1に変異をもつ常染色体劣性魚鱗癬患者表皮では警告因子のS100A8/S100A9が強く染色され、病変部皮膚では上記の自然免疫系に関連する遺伝子群の発現誘導が観察された。以上より、TGM1の変異によって損なわれた皮膚のバリア機能を補強するために自然免疫系に関わる分子群の発現が自律的に誘導されることが示唆され、魚鱗癬形成の新たなメカニズムとして提唱した。
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