2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞の運命決定にsignal intensityは重要か?
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26461683
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
原田 和俊 東京医科大学, 医学部, 准教授 (20324197)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | hair follicle / skin tumor / signal transduction / Wnt signal / β-catenin |
Outline of Annual Research Achievements |
「毛髪」の再生法を確立するため、さらに、高齢化社会到来により、近年増加傾向にある皮膚悪性腫瘍なかで一定の割合を占める毛嚢由来の腫瘍の治療法を確立するためには、毛嚢形成の分子メカニズムを解明が必要である。発生・発癌に大きな役割を担うWntシグナル伝達系は、毛嚢や毛母の形成においても重要な機能を持つ。我々はこれまでの研究結果を基にWntシグナルの強弱で表皮角化細胞が毛嚢間表皮、毛嚢、毛母へと分化するとの仮説を立てた。現在、表皮角化細胞株にWntシグナルのkey moleculeであるβ-cateninを発現させる実験系の作成を試みている。 具体的にはTet-onシステムを応用し、ドキシサイクリン濃度依存的に細胞内のβ-catenin転写活性が上昇するプラスミドを構築し、表皮細胞に遺伝子導入後、薬剤選択マーカーを用いてstable transfectantの樹立を行っている。薬剤選択マーカーで1ヶ月程度selectionを行い、樹立した細胞において、β-cateninの発現をウエスタンブロットと免疫組織染色で確認したところ、明らかな発現が認められなかった。上記の実験系はtet onによりプロモーター領域に結合するelementを発現させるプラスミドと、このelementに反応してβ-cateninを発現させるプラスミドの2つのものを同時に細胞内でstable発現させる必要がある。今回、樹立した細胞はこれらが同時に高いコピー数で発現していない可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初目的としていたドキシサイクリン濃度依存的に細胞内のβ-cateninの濃度が上昇する細胞株が樹立できていないためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下に示す解決法で細胞内β-catenin濃度を調節可能な表皮角化細胞株が樹立できるように試みる。 1)selectionに用いる薬剤を高濃度で培地に加え、高いコピー数でプラスミドをもつ細胞を樹立する。 2)現在は2つのプラスミドを細胞に導入することが必要であるが、ひとつのプラスミド内にこれらの2つのelementをもつものが入手可能である。このプラスミドを用いて、樹立を試みる。 3)keratin 14 promoterの転写活性が弱く表皮細胞におけるβ-cateninの発現量が十分得られない場合には、N末端をdeletionし、細胞内で分解されづらいstable formのβ-cateninを発現させる。そのため、β-cateninの遺伝子を改変したcDNAを用いて、細胞に遺伝子導入を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験計画が進んでおらず、購入予定だった試料・薬品等を購入しなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験の進行具合に合わせて、試料・薬品を購入予定。
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