2014 Fiscal Year Research-status Report
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26461684
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
青木 類 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (10377541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 眞路 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10114505)
川村 龍吉 山梨大学, 総合研究部, 講師 (70262657)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / マスト細胞 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来よりマスト細胞はⅠ型アレルギーを惹起する細胞として知られているが、近年、自然免疫の誘導や調節におけるマスト細胞の重要性が明らかにされてきている。我々は最近、人体にとって重要な病原体である単純ヘルペスウイルス(HSV)を用いて、HSV感染防御におけるマスト細胞の重要性を初めて明らかにした。特にマスト細胞の活性化刺激となる表皮細胞由来因子としてIL-33の関与が示唆されたため、HSV感染防御におけるIL-33の関与について検討を行った。 まず、HSV感染防御におけるIL-33の関与について調べるため、IL-33の受容体であるST2欠損(ST2-/-)マウス、コントロール(B6)マウスの背部にHSV2 7.5×105PFU/50μlを皮内接種し、皮疹、麻痺を観察し、生存率の差について検討した。ST2-/-マウスではB6マウスと比較して皮疹、麻痺が重症化し、生存率が有意に低く、IL-33/ST2経路がHSV経皮感染における生体防御に重要であることが示された。 次に、マスト細胞のIL-33/ST2経路の重要性をin vivoの実験系で明らかにするために、マスト細胞欠損(W/Wv)マウスの皮膚へ骨髄由来マスト細胞(BMMC)を再構成する手法を用いて検討した。W/WvマウスにB6マウス由来のBMMC1×106を皮内接種すると、6~8週間後に接種部位の皮膚にマスト細胞が再構成されることがすでに示されている。この手法により、W/Wvマウスの背部皮膚に、B6, ST2-/-マウス由来BMMCをそれぞれ再構成した後、同部位にHSV2を皮内接種し、観察した。W/Wvマウスで低下した生存率は、皮膚へのB6由来BMMCの再構成で完全に回復するのに対し、ST2-/-マウス由来BMMCの再構成では回復せず、マスト細胞のIL-33/ST2経路がHSV感染防御に重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HSV感染防御におけるIL-33の重要性について、特にマスト細胞のIL-33/ST2経路の重要性について、HSV皮膚感染モデルを用いてin vivoの実験系で証明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
HSV感染皮膚において実際にIL-33が産生されるかどうか、in vivoで検討する。B6マウスの背部にHSV2 7.5×105PFU/50μlを皮内接種し、感染皮膚の免疫染色を行いIL-33の発現をみる。また、skin lysatesを作成し、IL-33をELISAで測定する。HSV感染とIL-33産生との関連を調べるため、同時に感染皮膚のウイルス量も測定する。さらに、ヒトのヘルペス感染皮膚組織を用いてIL-33染色を行い、ヒトでもIL-33の発現がみられるかどうかを検討する。 HSV感染皮膚におけるIL-33の産生が認められた場合は、次に、産生されたIL-33がマスト細胞の活性化刺激となるかどうかをin vivoの実験系を用いて検討する。HSVを皮内接種したB6, IL-33欠損マウス各々から感染皮膚を採取し、表皮シートを作成して培養液に浮かべ、上清を骨髄由来マスト細胞(BMMC)に添加し、マスト細胞のサイトカイン産生につき調べる。 さらに、マスト細胞が生体防御に働くメカニズムについて検討する。マスト細胞由来の各種サイトカインがウイルス排除に関与しているかどうかを調べるため、各種サイトカイン欠損マウス由来のBMMCをマスト細胞欠損(W/Wv)マウス皮膚に再構成し、HSVを皮内接種した後、感染皮膚のウイルス量を測定する。また、各々の再構成マウスの所属リンパ節のHSV特異的CD8+T細胞、樹状細胞につき解析を行う。
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Causes of Carryover |
マスト細胞の再構成実験を順調に行うことができたため、再構成に必要となる骨髄由来マスト細胞の培養に必要なサイトカイン量が予定していたより少なく済み、未使用金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
HSV感染皮膚におけるIL-33の発現をみるための実験に必要となるIL-33抗体やELISAキット、骨髄由来マスト細胞の培養に必要なサイトカイン、マスト細胞が生体防御に働くメカニズムについての検討実験を行うにあたり、HSV特異的CD8+T細胞、樹状細胞等の解析に必要となる各種抗体の購入にあてる。
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Research Products
(6 results)