2014 Fiscal Year Research-status Report
IL-36シグナルを介した表皮細胞-樹状細胞間クロストークによる乾癬発症機序解明
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26461695
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大湖 健太郎 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (90595274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (20403892)
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (80273621)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 皮膚科学 / インターロイキン / インターロイキン36 / 乾癬 / 膿疱性乾癬 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,ヒトの乾癬病変でIL-36シグナル発現が亢進しているかどうかを検討した.健常ヒト皮膚および,乾癬患者の非病変部と病変部皮膚を用いた定量RT-PCRを行った結果,乾癬皮疹ではIL-36γの発現が有意に亢進しており,更に,IL-36αとIL-36RaをコードするIL-36RNの発現も上昇傾向にあることを確認した.続いて,乾癬モデルマウスでのIL36シグナルの発現を検討した.我々の研究室で開発した乾癬のモデルマウスであるK5.Stat3Cマウスでは、表皮細胞特異的に活性型Stat3(Stat3C)を発現しているトランスジェニックマウスであり、このマウスは、ホルボールエステル外用後に乾癬様皮疹を呈することを見出している.さらに、このマウスはヒト同様IL-23/Th17軸に依存した皮疹を発症し、この軸を標的とする抗体療法(抗IL-12/23p40, 抗IL-23p19、抗IL-17A)によって皮疹形成が抑制されることを報告しているが,このマウスに誘導した皮疹ではヒト乾癬同様、IL-36α/β/γ及びRaの遺伝子が高発現することを確認した.続いて,IL-36受容体ノックアウトマウス(以下IL-36R(-/-))をK5.Stat3C マウスと交配した。IL-36R(-/-):K5.Stat3Cマウスの耳介にホルボールエステル刺激を加えたところ、有意に耳介肥厚が抑制され,表皮の肥厚も抑制されていた.このときIL-17Aをはじめとする乾癬関連遺伝子の発現が抑制されていた。 以上の結果から本動物モデルにおいて,IL-36シグナルの阻害が乾癬病変の発症が抑制されることを示され,本動物モデルは乾癬の発症メカニズムの解明のみならず新たな治療薬開発の基盤としての利用も期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乾癬モデルマウスにIL-36受容体ノックアウトマウスを交配したマウスが完成し,そのサイトカイン環境の評価について、qRT-PCRによる定量的評価,組織学的評価を行い,IL-36シグナルが乾癬様皮疹の進展に関与することが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、IL-36R(-/-):K5.Stat3Cマウス を用い、IL-36シグナルが、樹状細胞からのシグナルを介し乾癬様皮疹を形成する経路に必要であることの証明する。 1) IL-36R(+/+):K5.Stat3Cマウスに、前処置として致死量の放射線照射を行う。2) その後、IL-36R(-/-)マウス由来の(Ⅰ)骨髄、(Ⅱ)骨髄+樹状細胞、を尾静脈から静脈注射し移植する。3) 移植後のマウスに、TPA塗布による刺激を行い、耳介の腫脹が抑制され得るかを観察する。皮疹部、所属リンパ節、脾臓へ集積するT細胞及び樹状細胞の変化を、FACS解析、real time PCR解析によるリンフォカインプロファイリングで対照群と比較検討する。 加えて,in vitroの系での解析を進める.具体的には,培養ケラチノサイトにおいて,各種サイトカイン刺激を行った際に,IL-36シグナルの変調を,qRT-PCRおよび,ELISA法を用いて評価する予定である.
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